志賀高原でたっぷりスキーの基礎練習をして、いささか疲れた。
今回はレッスンを受けるのは2人。
一人はO先生のクラスのNさん、それと私。
私は元々O先生のクラスの生徒ではなく「雪雀連」の一員としてグループでレッスンを受けていた。
Nさんが一人で受けるはずだったレッスンに、スケジュールの関係で今回特別に入れてもらったのだが・・・
長野駅で合流、先生の車でゲレンデに向かう途中で、Nさんの携帯に着信があった。
話している様子がただ事ではない。
かなり走ってからNさんが、実はお兄さんの奥さんが亡くなったそうでと言い出した。
ご家族からの電話だった。
それは大変!すぐ引き返そうと言うと、ホテルにはすでに荷物も送ってあるし、ここまで来てしまったからいそいで帰らなくても良いと言われたそうで、ひとまず今晩一晩は泊まって明朝帰ることになった。
その日は午後まだ早い時間にホテルに到着。
とりあえず私と先生はゲレンデへ。Nさんはホテルで気持ちを落ち着かせようと、荷物を送り返したり、キャンセル料金を支払ったりして過ごした。
強烈な低気圧が北海道付近に居座っているため、東北から北は大荒れ天気だったようで、ゲレンデも風が強く凍えるような寒さ。
その中で鬼教官とマンツーマンでのレッスンは、忍の一字。
立っているだけで叱られるという、口やかましさ。
一滑り毎に厳しい注意が飛んでくる。
リフトを降りるときもよっこらしょと腰を曲げて降りれば、容赦なく叱られる。
それでもいつものレッスンよりは集中出来たので、多少の成果は上がったようだ。
その夜は、珍しく食事も残すほど疲労困憊。
次の日Nさんは朝食後すぐ出発していったから、全くのプライベートレッスンとなってしまった。
その日も猛烈な寒気が襲ってきて、午後になるとがくんと気温が下がったところで終了。
これ以上は無理といって、やめてもらった。
今朝窓の外を見ると、前日ほどでは無いけれど風もあるし気温も低い。
いつもあまり疲れすぎないように程々でやめることにしているから、今日はもう帰りますと言ってレッスンは終了した。
明日からは「雪雀連」の方のレッスンが始まるので、先生はひき続きホテルに滞在する。
Nさんはずっと滞在する予定だったので、私が帰っても先生は独りぼっちにならないはずが、彼女が帰ってしまったので、今夜は先生1人。
しかもホテルの泊まり客も先生1人だそうで、あの寂しい白樺に囲まれたホテルでシクシク泣いては居ないかと心配している。
長年立山で仕事をしてきた山男だから、そんなことはないとは思うけれど、案外人は見かけによらないから。
先生は今日教える予定だった私にも逃げられてすっかりヒマになり、することないから長野駅まで送るよと言ってくれた。
バスに乗って行くのも悪くないけれど、それは個人の車の方が時間も気にせず楽に行ける。
お言葉に甘えて送って頂くことにした。
長野に向かって山を下りる。
今年は積雪量が半端でなく、雪の壁が左右に立ちはだかっている。
この数日もまだ降り続けて居るから、今年はまだまだ雪には不自由しないで滑れそうだ。
神林温泉付近に差し掛かった時、私は野猿公園でサルが見たいと言ってみた。
いつもはバスだからこんな途中で降りてしまうと、次のバスが来るまで待たなくてはならない。
車なら駐車場に停めてそこから1.5キロ。
帰りも車ならすぐに出発できる。
こんな時でないと見るチャンスはない。
先生も他に用事も無いからと言って、山を登り始めた。
緩い上り坂だが、ぬかるんでいたり凍っていたり、歩きにくいうえによく滑る。
私は機能性よりもデザインと色で物を選ぶから、私の靴は面白いように滑る。
一応外見は登山靴、その実体はオシャレなアウトドア風シューズ。
足首の上まで紐を結ばないで折り返すと、中からチェックの裏が見えるという、お気に入り。
しかもスエードの綺麗な黄色で、汚れがものすごく目立つ。
ああ、もったいない。
歩く度に先生の叱責が飛ぶ。
頭下げるな、背筋を伸ばせ!
頭下げると足首が緩まないから転ぶぞ!
ああ、うるさい。
歩き続けて、やっとサルが浸かっている温泉にたどり着いた。
本当に気持ちよさそうに幸せそうなサルども。
見物人が群がって目の前にカメラを構えても、悠然と毛繕いをしたり、ウトウト居眠りをしている。
これは外国人も喜ぶわけだわ。
さて、下り坂。これが怖い。
やっと目の前に駐車場が見えてきて階段の最後の段を降りてヤレヤレと思ったら、すってーん。
泥だらけの水に尻餅をついた。
トイレで汚れをぬぐいながら1人で笑った。
いつも生徒に言っていることを思い出したから。
発表会などで、曲の難しい箇所を過ぎたところで油断して間違える子が多い。
最後まで気を抜かないようにと、いつも注意をする。
人に言うことが、ブーメランのように自分に戻って来るとは。
いつもバスに乗ると、サル目当てに神林温泉で降りる外国人客が沢山いる。
いつかはサルが温泉に入っているところが見たいと思っていたけれど、中々見る機会がなかった。
口やかましくても、じつは先生はとっても良い人なのだ。
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