2015年3月8日日曜日

オペラ  マノン・レスコー

オペラ「マノン・レスコー」のゲネプロ(総稽古)のチケットがあるけどいかが?というお誘いを頂いた。
少し前までよく仕事場で会っていた、コーラスの裕美子さんから。
旅の仕事の時には、よく一緒に美味しい物を食べたり、観光地に行ったり、3人の女性コーラスさん達とはとても仲良くしてもらった。
素敵な思い出を沢山作ることが出来た、幸せな時期だった。

さて、「マノン」というからマスネー?と思っていたら、プッチーニの方だった。
詳細は新国立劇場ホームページをご覧下さい。

物語はろくでもない話し。
綺麗なだけで浮気者、贅沢好き、我儘な女性マノン。
マノンを巡る二人の男と、間を取り持つマノンの兄。
お金のために金持ちと暮らすが、それに飽き足らず若い男との真実の愛に生きようとするが、捕らえられ放逐されるマノン。
そのマノンを追って男は水夫となって同じ船に乗る。
最後は荒野で息絶えるマノン、それを悲しむ男。幕がおりる。
しょうもない女のしょうもないお話。
それをプッチーニは素晴らしいオペラに仕立て上げる。

どんな場面にも泣かせる音楽がこれでもかと響く。
歌手は勿論、オーケストラも素晴らしい音で、圧倒された。
終演後も音が頭の中で鳴り響いて、中々現実に戻れない。
コーヒーショップで、しばらく一人でボーッとしていた。

このオペラ、本当は2011年3月に上演予定だった。
歌手もオーケストラも真剣に練習を重ね、本番を待っていた時に、あの大震災が起きて、上演は中止。
出演者全員、心底がっかりしたそうだ。
それで、今回再演となったという経緯がある。

オーケストラには私の英語の先生のルースさんがいる。
今朝ハリー・ポッターのレッスンがスムーズにいって、予定時間よりも早めに済むと、ルースさんは本当に嬉しそうに「これで、練習ができる」と言って劇場に飛んで行った。
そんなに難しいのかと思っていたら、なるほど、これは難所と思える音が何回も出てきた。
しかし、見事な演奏だった。

昔、オペラで歌手が歌うときには、オーケストラは極力音を小さくして邪魔をしないように、指揮者は常にオケを抑えていたものだった。
今は殆どの場合、オケは充分に音を出す。
それを上回るほどの声量のある歌手が、輩出しているということなのだ。
それとオペラハウスの場合は、歌がよく響く様に音響の設定がされているのだと思う。
今回の主役は外国人だったけれど、日本人の歌手も発声が一昔前と比べて雲泥の差。
日本でこの様に素晴らしいオペラを聴くことが出来て、感無量だった。

それにしても、オペラの筋書きってなんでこんなに酷いのかしら。まあ、音楽が素晴らしいから筋はどうでもいいけれど、荒唐無稽なのに皆聴いて涙する。不思議な世界。
かつて、芥川也寸志さんという作曲家が「僕はオペラが嫌い。なんであんなつまらない事を言うのにあんな大袈裟な音楽が必要なのかわからない」とおっしゃっていたけれど、それを言ったらおしまい。
ただただ素直に涙を流せばいいのだ。
























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