2015年3月26日木曜日

山を越える

以前作った眼鏡が合わなくなってきたので、作り直すことにした。

お店の人は大袈裟なと思ったかも知れないけれど、譜面台と楽譜を持参して距離を決める。
いくら説明しても実際できあがると、大抵読書用の距離になっている。
譜面台を置いてその前に座って距離を測ってもらおうとすると、どんどん譜面台を寄せてくる。
何回も説明しているのにどうして分からないのか、今まで行った眼鏡やさんでは大抵そうするので、腹が立つ。
いっそのこと店でヴァイオリンを弾いてしまおうかと思ったくらいで、それはまあ、恥ずかしいからやめて、何とか納得してもらうまでが大変。
なんで分からないのだろうか。
今回も口を酸っぱくして、80㎝と距離を決めて帰ってきたのに、見事に50㎝の焦点になっていた。
これでは譜面を見るには、近すぎる。
作り直してもらったが、なんだか信用出来ない。
しばらく様子見ということになった。

眼鏡は楽譜用を2つ持っている。
万一ひとつが壊れた時、スペアがなければ仕事にならない。
楽譜用は仕事を沢山していたときには、すごく良いレンズを使っていた。
一枚5万円なり!
薄いガラスで、視界が明るくなってくっきりと見える。
ところがフレーム無しのガラスだから、ちょっとした衝撃、例えば譜面台の縁にちょっと当たった時などに、パリンと割れてしまう。
あ~あ、5万円!
仕方がないのですぐに次を作ってもらって、待っている間はプラスチックの安物で我慢。
できあがると、世界が輝いて見えるほどの明るさ。
そして、パリン。
あ~あ、5万円!
何回壊したことか。
今はその眼鏡はケースに入れっぱなし。使うことはない。
片方のレンズが割れたまま。
使っていたらその分働かなくてはいけなくなる。
この次実現出来るかどうか分からないけれど、自分自身でプロデュースしたコンサートをもう一度やってみたいと思っている。
その時には新しい明るいレンズを入れてもらおう。
曲目はもちろんモーツァルト「ディヴェルティメント17番」
早く実現しないと、弾けなくなっちまう。

眼鏡のことを書くつもりではなかった。
ちょうど去年から今年にかけて、体の変わり目というような様々なことが起きてきた。
関節が硬くなる、関節炎になる、目が急激に悪くなる、手の平の水分がなくなって、色々差し障りが出る。
今までも何年か毎に、体の変わり目を体験してきた。
その都度、ああ、年取ったなあと思うけれど、演奏することに差し障るような重大なことはあまり起きなかった。

周りの人を見ても、「古典」のコンマス角道さん。
数年前に「僕はもうソロはやめますから、今度は皆さんでやってください」と言ってしばらくソロを弾かない時期があった。
たぶんその時期は体や心の変わり目だったのでは、と推察する。
その後、ここ2年位前から又お元気になって、今度の定期演奏会では「ブランデンブルグ協奏曲5番」のソロを弾く。
彼は喜寿だから、これは凄い!
一山越えたことで、復活した。

私は今、心も体も疲労感が強い。
それでも、弾くのをやめたらそこでお終いになってしまうので力を振り絞っているけれど、本当のところ、世間ではもう悠々自適の年齢で楽しく世界一周旅行などしているはずなのにと、時々さぼり心が顔を出す。
ちょっとした小品を弾くのも、以前よりも沢山練習をしないといけなくなった。
この山を越えれば、大草原が広がっているのかしら。
速く乗り越えたい。

大草原なんて書いたら、モンゴルの草原で馬に乗りたくなってしまった。
























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