2015年12月4日金曜日

練習開始

ロンドンアンサンブル小田原公演の下稽古。
ロンドンから2日前に到着したフルートのリチャードと奥さんのピアニストの美智子さんが、まず顔を見せた。
すぐにヴァイオリンの志帆さんも交えて、チェロのトーマスなしで軽く下稽古・・・のはずなのに、始めるとカリカリと頭にきやすい我々は、初めから夢中になってしまう。
美智子さん夫妻はテンポのことで揉め、私は「喧嘩はおうちに帰ってからやって」と仲裁に入るフリして、煽り立てる。

私が夕方から仕事に出かけるので、時間は正味3時間半。
お茶も飲まず、積もる話もせず、ひたすら弾き続けた。
志帆さんは先日関東学院大学の定期演奏会で、チャイコフスキーのソロを弾いたばかり。
あまり準備が出来ていないと言いながら、持ってきた昼食用のお弁当も食べずに弾いている。
美智子さんは体調不良で、ヒースロー空港に行くタクシーの中で酔ってしまったそうで、少し痩せたようだ。
けれど、夫婦喧嘩が出来るようだし、リチャードの意見を強引にねじ伏せる時には、パワー全開。

チェロがいないからバランスが分からないけれど、やはり室内楽は面白うございます。
とにかく指揮者がいないのが良い。
指揮者が居ると我々楽隊は身動きとれない。
もう少しここをゆっくりなんて思っても、指揮者に強引に棒を振られたら、絶対服従する。
でないと、オーケストラは成り立たない。

昔ホルンの名手、ザイフェルトという人がいた。
指揮者のカラヤンと彼の意見が衝突して、カラヤンが「俺はカラヤンだ」と言ったら「俺はザイフェルトだ」と言い返した伝説がある。

世界的に有名な彼の演奏を聴いたのは、一橋大学の講堂だった。
天窓の辺りに鳩が飛んでいて、ホルンの、のどかな響きを背景に、まさに一幅の絵画の中に溶け込んだようで、実に良いコンサートだった。
ちなみにチェンバロは小林道夫せんせい。
記憶が曖昧で、チェンバロではなくてピアノだったかもしれない。

こちらは時間に追われて悠長にしていられない。
モーツアルト、ベートーヴェンはなんとかなるけれど、エルガー「エニグマ」は私は初めてお目にかかるので、十分な下準備はしたはず。
なのに、実際合わせてみると最後の方は置いてけぼり。
どんどんテンポが上がって行く。
そこは古狸だから、要所要所で見繕って最後はピタリと終る。
しかし、途中がきちんと分かっていないことに気がついた。
今日は初めから譜面を見直してチェックする。

やっとこれなら次の練習ではついていけるかも、というところまで漕ぎ着けた。
私が出かける時間が来ても全部の練習が終らなく、志帆さんのソロ「ポギーとベス」の練習が残ってしまった。
自宅の鍵を美智子さんに預けて、私は一足お先に仕事に飛んで行った。
全く休憩無しの3時間半、ヴィオラを弾き続けたので、今朝は少々寝坊をした。

次の練習は1週間先で、チェロのトーマスが来るから、もう少し楽に出来ると思う。
うちのレッスン室はまあまあの広さがあるけれど、トーマスが来ると突然小さな部屋になってしまって、人がひしめき合う感じになる。
楽器も人も大きい。音も大きい。
日本のチェリストも上手いけれど、トーマスの音を聴くと全部吹き飛んでしまいそうな気がする。

さて、小田原公演の宣伝です。

12月15日(火)18時開演 小田原市民会館小ホール

モーツアルト「フルート四重奏曲 第4番 イ長調 K.298」
ドヴォルザーク「チェロ協奏曲 ロ短調 作品104 第1楽章」
ベートーヴェン「ピアノ四重奏曲 変ホ長調 WoO36 第1番」
作曲者不明尺八 古典本曲「手向け」
ガーシュイン「ポギーとベス」ハイフェッツ編
エルガー「エニグマ変奏曲作品36」

ドヴォルザークの伴奏とエルガーの原曲はオーケストラ。
それを5重奏曲に編曲した。
編曲と尺八演奏 リチャード・スタッグ
リチャードが尺八を持って袴姿で登場すると、観客席が喜ぶのがわかる。
このアンサンブルの、恒例の演しもの。












4 件のコメント:

  1. いつも練習シーンを読んで思うのは、楽器を奏でるって体力いるんですねえ。3時間半ですかあ。ネコタマさまがタフなわけですね。
    会社の忘年会やっと終わりましたが、幹事のひとりだったので、出し物をどうするかとか、幹事が何度も集まってあーでもない、こーでもない、でした。(これも仕事の一部ですからねえ)
    演奏家っていいですねえ、忘年会やったら、知らないうちに誰かのってしまって演奏していそう。自分も自分も、って。 聴いてるだけで楽しそう。

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  2. 忘年会、門前仲町で25日有りますがご参加いかがですか?大歓迎です。
    お勤めの方は5時では早いかも知れませんが、延々やっていますのでぜひ。
    音楽会形式ですが、まあ、出演してもしなくてもたぶん会費は4000円、他人の下手くそな演奏を聴いているよりは自分で叫び声を上げた方が楽しいです。ちなみに私はピアニストとして登場、自分の専門はやってはいけない規則になっております。しかも必ず間違えないといけないとか、不届きな規則がいっぱいで、近所の美味しい焼き鳥やさんからなにか調達して飲み放題ですぞ。いかがかな?
    出席ご希望の説はご連絡を、お待ちしております。

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  3. えっ、行ってしまっていいのですか。 私、一般人ですが。
    でも、喜んで伺わせていただきます。nekotama様に久しぶりにお会いしたいし。
    門前仲町、うちから遠くないです。お誘い、ありがとうございます。

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  4. 一般人が殆どで、私のようなヤクザな商売は一握りです。
    尾連れ合い様も(この変換笑った)シュナちゃんもどうぞ。
    後ほどご案内いたしますので、ぜひ。
    前のコメントの変換も「ご希望の説」あはは

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