2016年9月18日日曜日

行方不明のミッケ(涙)

三毛猫ミッケはわが家の駐車場に毎日通ってくる半ノラ。
元々飼い猫だったのに、家に閉じ込められるのが嫌だったらしく、飼い主を捨てて気ままに暮らしてきた。
朝食はわが家で調達、毎朝雨が降ろうが雪が降ろうが食べに来て、寝坊した私が慌てて駐車場に行くと、文句たらたら。
もっと遅くなると、大声で鳴いて催促。

いつもこの辺のボス猫とつるんで、代替わりすると次世代ボスを連れて食べに来ていた処世術のうまさ。
だから誰にもいじめられないで、ここ数年は安穏と暮らしていた。
寒い日は物置においてある猫ベッドの段ボールの中で眠る。
冬になるとアンカを入れて暖かくしてあげた。

今年に入ってから、今までは絶対に触らせてもらえなかったミッケが、頭を撫でさせてくれるようになった。
その前にボス猫シロリンがやっと馴れて頭に触らせるようになって、それを見てミッケも馴れてきたところだった。
今までは近くに手を伸ばそうものなら、シャーっと言って威嚇してきた。
もう何年も朝ご飯をごちそうしているのに、少しも愛想良くふるまうつもりはないようで、私の手の届かない車の陰の安全な場所にいて、ご飯だけ頂戴するというちゃっかりさん。
根気よく毎日、ほんのちょっと頭に触り、そのうち撫でても平気になってきたけれど、日によっては威嚇されることもあった。

それが一週間ほど前。
急に全身を私の前に現した。
全く無防備な状態で頭にさわっても平気で、そのうえゴロンとなって全身を触らせたのには驚いた。
背中やあごの下などを撫でると、気持ちよさげにしている。
それでも今までが今までだったから、あまりしつこくすると嫌がられると思って遠慮して、すぐにやめた。
次の日シロリンは来たけれど、ミッケは来なかった。
2日ほど経つとシロリンも来なくなった。
そしてミッケはあれっきり姿を現さない。

猫の社会で人事異動(にゃんじ異動)があったのだろうか。
長年、ほかの猫が変わってもミッケだけは知らん顔して通ってきていたのに。
もしや・・・不安がよぎる。
なんで急に「さあ、撫でなさい」とでも言うように姿を現したのか。
最後のご挨拶だったのか。

もう20年も前の事。
毎日わが家の窓際にご飯を食べにくる猫がいた。
おそろしく警戒心が強く、私が手を伸ばして撫でようとすると、いきなり爪を出して威嚇してくる。
猫の爪の裏側には毒があるから、うかつにひっかれたら腫れあがってひどいことになる。
どうしても、とうとう触らせてもらえなかった。

そのころ家を新築することになって猫の食堂の窓は壊され、路頭に迷ったノラはやせ衰えた姿で目撃された。
私の姪が見つけて報告に来た。
心が痛んだけれど、猫のために家を建てるのをやめるわけにはいかない。
猫はたいていの場合、なんとかエサ場を見つけてうまくやっていくものだけれど、その猫は汚いうえに不愛想。
誰かが面倒みてくれるかどうか心配していた。

そして数年後、駐車場の私の車の屋根に、その猫が座っているのを発見。
よく見ればもう命が残り少ないのが分かった。
ぼろ雑巾のようになって、思わず手を出すと、不思議なことに黙って撫でさせる。
喉を鳴らす。
すぐにえさを用意した。
それから一週間ほど、そのエサも食べなくなって、そっと段ボールに入れて家まで運んだら、最後の力を振り絞って逃げだした。
それ以来、姿が見えない。

そっとしておいてあげればよかった。
私に最後のあいさつに来てくれたのに余計なことをした。
もうすっかり手を怖がらなくなって、ずっと撫でられるようになっていたのに。

ミッケは最近エサをほとんど食べなくなっていた。
毎朝習慣で通ってきていたようだった。
もしかしたらやっと撫でさせてもらえたのも、最後のあいさつだったかもしれない。
ノラの生活は厳しい。
ミッケは自由を手に入れるために、好き好んでノラをやっていたのだった。
時々「そろそろうちの子にならない?」と訊くと、フンと言って不愛想に見つめ返してきた。
そのミッケがあんなに心を許したように振る舞うのは・・・いろいろ考えてしまう。

今朝も来なかった。


















2 件のコメント:

  1. なんか、泣けてしまうではないですか。うう、(つД`)・゚・

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  2. 今朝も来なかった・・・・
    でも諦めるしかないんですよね。
    私の力の及ぶことではないので。

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