2016年9月9日金曜日

ねこたまチルドレン

夕飯を食べてテレビを見てまったりしていたら、インターホンが鳴った。
はて、こんな時間に誰?と思ってドアを開けたら、妙齢の美女が立っていた。
あら、Kちゃん、もうこんな時間?と慌てふためく。
OLのKちゃんが会社の帰りにレッスンを受けにきた。

Kちゃんはものすごく美人さん。
色が白くてちょっとハーフっぽい雰囲気の素敵なお嬢さんなんだけど、やることが少し不安定。
それでレッスンをしている間中、二人とも笑い転げる。
ケラケラよく笑う。

ずい分以前のこと、私が沢山生徒を教えていたころ、彼女は張り切って通ってきた。
その後、アマチュアオーケストラに入ってしまったので、忙しくてなかなか仕事との両立が難しくなってきた。
それで定期的なレッスンはやめて、たまにレッスンを受けに来るようになった。
そのうちに回数が減ってきてぱったり来なくなるというよくあるパターン。

それでもなにかとコンタクトがあって、今回はアマチュアオーケストラの定期演奏会の曲の弾き方がわからないといって、教わりに来た。
アマチュアオケの次の定期演奏会が決まるとレッスンにくる男性もいる。
オーケストラの曲だけ弾き方を教わりに来る。
こういう大人の人たちを相手にしていると、なかなか面白い。
それぞれ社会的には私などよりはるかに常識人なのに、私の住む世界に来るとたちまち変な森の中に迷い込んだ風になるのが楽しいらしい。

Kちゃんはずっと消息不明なのにいつも身近にいるようで、たまに電話がくると昨日まで一緒にいたかのような感覚にとらわれる。
先日の私のコンサートに来てくれたのに、満席で入口で追い返されてしまった。
気の毒だったので謝ったら、あはは、追い出されちゃってとあっけらかんとしている。

ほかの生徒たちも同じで、先日久しぶりに一緒に飲んだ女性は本当に数年ぶりに会うので、いつの間にか自分の事務所を構える社長さんになっていたのに驚いた。
おごってあげようと思っていたのに、おごられてしまった。
先生としてはなんだか面目ない。
彼女はものすごく酒豪で、ある時わが家に遊びに来た。
私は仕事があって、ほかの客である二人の男性と酒瓶を置いて出かけてしまったことがあった。
家に帰ると玄関に一升瓶が2本、ごろりと横たわっていた。
たった3人で2升!
いったいどうやって家に帰ったのかと訊いたら、全く覚えていないという。
建築士なので現場ではヘルメットをかぶって高い足場にも上るらしい。
恰好良くてほれぼれする。

先日のコンサートの時には、優秀な事務能力のある女性に手伝ってもらった。
彼女も元音楽教室の生徒。
社会的には河原乞食の私よりもずっとまともだから、私をたすけてくれる。
助けるというよりは危なくて見ていられないのかもしれない。
受付業務を完璧にやってくれた。

かつての生徒たちとはいまだに交流があって、明日から越後湯沢での弦楽アンサンブルの合宿に行くことになった。
かつて教えていた音楽教室の生徒たち「ねこたまチルドレン」
2日間楽しくも厳しい練習が待っている。
今回はチャイコフスキー「弦楽セレナーデ」の一部。
9月半ばに音楽教室の発表会があって、その総仕上げということになる。

私はもう教師はやめたけれど、生徒たちに時々こうして引っ張り出されると、うれしいのと少し億劫なのと気分は半々。
若者といると気分が全く同じになるから不思議。
最近はオーケストラの仕事もしていないけれど、かつて若い人が中心のオーケストラにエキストラに行ったら、コンサートミストレスから「ねこたまさんは私たちと全くいっしょ」と言われた。
これ、褒められているのか、どうなのか複雑な思いだったけれど。
明日から若いパワーに負けてへとへとになってきます。
ああ、しんど!

























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