お正月は毎年志賀高原へスキーに行く。
しかし少し前から足首が痛む。
特に一日の初め、ベッドから出る瞬間、ズキリ。
立ち上がる時に右足に力が入らない。
それで今年のスキーはどうしようかと迷っていた。
あの重たいブーツを履いたらどうなるか心配で履いてみた。
ところがこれが滅法具合がよろしい。
暖かいし足首が固定されて痛みが引く。
101歳まで現役のプロスキーヤーだった三浦敬三さん。
1904年生まれ~2006年
その現役ぶりは素晴らしい。
70歳 エベレスト滑降
77歳 キリマンジャロ頂上噴火口内滑降
81歳 シャモニーからツェルマットまで90キロ踏破
88歳 フランスとスイスを跨る氷河地帯100キロ完全踏破
90歳 モンブラン山系のバレーブランシュ氷河5回目の滑降
99歳 同じくバレーブランシュ氷河6回目滑降
100歳 アメリカ スノーバードで親子孫曾孫4代での滑降
この敬三さんはトレーニングのため、いつもスキーブーツを履き、歩くときは足首に重りを付けて歩いていたらしい。
100歳越えても一人暮らし。
玄米と圧力鍋で煮た魚を骨まで食べたという。
家の中をブーツを履いて歩いていたら、思い出した。
私は敬三さんにお会いしたことがある。
2002年に廃業した船橋の人工スキー場ザウスへ行ったときのこと。
着替えをして、ひと滑り前のコーヒーを一杯。
隣のテーブルに白髪で、目の覚めるようなブルーのウエアの人がいた。
若者ばかりのその施設で目立っていたので、思わず声をかけた。
「お元気でいらっしゃいますね」
「ええ、まあ」
少し苦笑い。
私はその時敬三さんのお顔を存じ上げなかったので、そんな高名な方とはつゆ知らず、気軽に声ををかけてしまった。
「ではまたゲレンデで」とあいさつをして、ゆっくりリフトに乗っていると、先ほどの人が颯爽と滑り降りていく。
目を疑った。
これは只物ではない。
たいていの人はリフトを降りて頂上で立ち止まり、斜面を覗く。
降りるコースを確かめてから滑り始める。
けれど、その方はリフトを降りるや否や、恐ろしいスピードで降りて行ってしまった。
ひらりひらりと、ほかの誰よりも軽やかに。
とんでもない人に声をかけてしまったようだ。
後にその話をスキーの先生にすると「それ敬三さんだよ」先生は笑いながら言った。
悔しい、もう少しお話を伺っておけばよかった。
私はチャンスを逃す名人なのだ。
ザウスが廃業する少し前だったから2000年前後とすると、その時彼は90歳代?
私の記憶は怪しいので、もう少し前としてもザウスができたのが1993年だそうだから、80歳代後半。
スキーブーツを履いていると痛みもなくなるから、予定通りスキーに出かけることにした。
ええ、敬三さんに比べれば私はまだひよっこですから。
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