2020年12月10日木曜日

コロナと天候

今年を振り返ってみると本当にひどい年だったと言わないわけにはいかないけれど、一つだけ良かったことは天候が穏やかだったということ。大災害が多発した一昨年はたくさんの人が被災した。ここ10年以上前から大地震や大津波、洪水で日本列島はズタズタだった。コロナ感染が始まって、これでもし大地震でも来たら大変だなあと思っていた。災害の被災者の避難所などは本当の修羅場になってしまう。

 まだあと半月ほど残っているものの、今年は稀有な穏やかさで締めくくれることを期待したい。万一のことがあっても自宅で待機することになれた人たちは、うまく切り抜けられるのではないかとも。自然が猛威をふるうのにはわけがあるのかもしれない。過度な快適さをもとめるあまり、木々を切り倒し、電気を使い、贅沢を求める人間の欲深さはとどまるところを知らず、いつの間にか自然破壊につながっているものと思われる。

今年は世界中の経済活動が制限されて、人々は窮屈さや味気なさを味わったとはいえ、多分その御蔭で自然が穏やかだったのでは?と飛躍しすぎた理屈かもしれないけれど、私は思った。ほんの少し人間が活動を抑制すれば、もしかしたら地球は救えるかも?

私の山の家は森の中にある。夜になるとあたりは真っ暗、本当に足元が見えない暗さ。その代わり日の出の美しさ、夕日の見事さはどんな絵を見るよりも私にとって癒しになる。ひと時たりとも退屈しないのだ。黙って木々を眺めているだけで深い休息を感じる。

こんな不便なところで年老いて暮らそうとするのは、傍目に見れば暴挙と言って良い。けれど、今年一年の生活の大半の幸せを、山の中の家で過ごすことによって味わえた。冬が来たので、猫と二人の静かな明け暮れを満喫した山を降りてきたけれど、できれば冬もそこで暮らしたい。けれど、それには準備がいる。体力も気力も若い頃より半減しているので、どのようにすれば安全でいられるかを模索している。幸い冬の間毎年スキーを欠かさずにやっていたから、寒さの基準もわかっている。寒さ対策の装備は揃っている。

まさか北極ではあるまいし、零下数十度なんてことはない。近所には家もあり管理事務所もある。雪かきをしてもらえるとなれば、それほど暮らしには困らないと思う。ただ一つ、車を使わないと買い物もできないということが心配のタネ。私の車には冬季は必ずスタッドレスタイヤが装備されているのに、一度も雪道を走ったことがないというのも変な話しなのだけれど。

家にたどり着くには急な坂道を急カーブに沿って登らなけれはいけない。それがまず自信がない。今年12月の初めころ、その坂で滑った車の事故で前方を塞がれて、大渋滞に嵌った電気屋さんに来てもらえなかったことがあった。たいした工事ではなかったので、それでは来年春になったらお願いしますと言って、工事は中止した。その頃にはすでに凍結が始まっていたのだ。もし事故にあったら、猫と私では世の中の役たたずの代名詞、なにもできないから誰かに助けてもらわないといけない。それでは周り中が迷惑する。だから極力危険は避けることにしている。

無理に危険をおして行動して事故ったら、それ見たことかと高齢者の免許証を取り上げる議論が復活する。しかし、もしかしたら今年から来年の春までは好天気が続いて絶好の運転日和になるのではと期待している。それなら時々冬の森の中で暮らすのもいいかなと。

雑木林は冬にはすっかり葉が落ちて、夏にはほとんど日が差さない森も明るくなる。その御蔭で小川の流れも姿を表して清流の勢い良いさまを眺めることができる。厳しい冬もとても明るい。今年の穏やかさが今後も続くといいなあ。人が欲望を追求するあまり、自然や他の動物に迷惑をかけているのではないかと最近ずっと思っている。私が元凶かもしれない。

日本が好きで日本に住んでしまったニコルさんという冒険家であり自然保護者である人がいる。先程「徹子の部屋」で追悼番組をやっていたけれど、北極で方向を見失い流氷に乗っていたら、アザラシの大群が来て大勢で陸まで導いてくれたという話をしていた。「これは本当の話しです」と言っていたけれど私は信じる。彼が困っているさまをずっと見ていたアザラシたちが相談でもしたのかしら、大勢で周りを取り囲んでカヤックのパドルを押したり舳先を押したりして運んでくれたそうなのだ。陸が見えるところまで来たところですっといなくなったという。こういうことがあったら他の動物も本当にいかに大切かということを身にしみてわかるというもの。その瞬間を私も共有したかったなあ。これ以上の幸せってあるかしら?

危険が多いから喜びもひとしお。危険だと言って雪道を運転しないで終わるのはいかがなものか。だからといって雪道の運転はこわい。うーん、珍しく私がおっちょこちょいになれないのはそこのところなのだ。













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