都内某所でのミニコンサート。
ドイツの室内オーケストラで長年弾いていて、最近リタイアして日本に戻られたというヴィオラのHさんに、お目にかかった。
初めはもう1人ヴァイオリンが来る予定だったのが、大風邪をひいてガラガラ声になってお休み。
おかしいな、風邪を引くような人ではないのに。
とにかく鬼の霍乱。
その人の名が同姓のHさん。下の名前がM子さん。
ヴィオラのHさんの奥さんもM子さん。同姓同名、字も同じ。
奥様はピアニスト。
なにやら、ややこしくなってきた。
私とHさんでモーツァルトの「ヴァイオリンとヴィオラの2重奏曲ト長調」
とにかく今日初めてお目にかかる人なので、どんなヴィオラが聴けるのか楽しみだった。
前もって合せはしていなかったから、ほとんどぶっつけ本番。
しかし、長年某有名室内オーケストラで弾いていたとあれば、すごく安心感があった。
お顔を見たら、穏やかなゆったりした感じ。
全く言葉での打ち合わせ無しでいきなり合せ始めると、初めから長年いっしょに弾いていたように、違和感が全くない。
思いの通りのテンポが出せる。
最初の1小節でそれが分かった。言葉はいらない。
こちらが弾くとちゃんと答えてくれる。
これはすごい!
1回スルッと通しただけで、なんの問題もありませんねということになった。
お互いにツーカーなので、本番もとてもリラックスして集中できた。
その後は、Hさん夫妻がシューベルトの「アルペジオーネソナタ」をご披露した。
奥様も豊かな音の持ち主だった。
素敵な演奏を聴いて、ワインパーティーに移り、ほろ酔いでモーツァルトのオペラ「魔笛」をヴァイオリンとヴィオラ用に編曲したものを弾く。
こちらは酔っている。
すったもんだしながらも、お客さんは楽しんでいたようだ。
聴衆の中に素敵なおばさま、今日がお誕生日で、御年94才になる方がいらして、「とてもよかったわよ、貴女、いつも巫山戯てるけど、今日は良かったわ」と言われた。
いえ、別に巫山戯ているワケじゃあございません。
真面目に弾いてもああなってしまうのです。
そりゃ、時々巫山戯ますけど、ちょっとした息抜きなので。
私はヴィオラという楽器が大好きで、自分でも好んで弾くので、気分はヴィオラ弾きに近い。
先日の八ヶ岳音楽祭でもヴィオラを心ゆくまで堪能した。
ヴィオラ弾きは変わり者揃い。
でも今日お目にかかったHさんは、見たところ学者さん風で特に変わっているようには見えない。
でも、ヴィオラを選ぶというだけで、すでに変わり者かも。
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