2014年11月16日日曜日

間もなくスキーシーズン

神田のスキーショップに集まった、中高年の怪しい人達。
毎年この時期になると、新しい用具やウエアなどを揃えて、シーズンの到来を待ちわびる。
私たちのスキーインストラクターのO先生。
偏屈、変人を絵に描いたような人だけど「雪雀連」の手練手管に嵌って、最近は大分人間らしくなってきた。

かつては雪の吹きすさぶゲレンデで、寒さに震えながらお小言頂戴して、昼食時間も大幅に遅れ泣きそうになった。
どんなわずかなミスも許してもらえず、恐ろしく耳が良くて音だけでも滑り方が分かるらしい。
後ろで滑っていてもお小言が飛んでくる。
滑らかに安全に、絹のブラウスにアイロンをかけるようにと、さんざん言われた。
ゲレンデに仁王立ちになって数時間、私たちの滑りを細部まで漏らさず監視している。
リフトから降りた瞬間、お小言。
こちらがリフトに乗っていても下からお小言。
後ろに居るとも知らず気を抜いて滑ると、お小言。
あまりの煩さに、一緒にリフトに乗るのも面倒だから、皆で譲り合う。
どうぞどうぞ、たまには先生とご一緒に・・なんて。
リフトに乗っている間中、足が膝がどうのこうの言うから「たまには、山がきれいだねえ、でも君はあの山よりもっと綺麗だよ位のことは言えないの?」と言ったら「俺、そういうの苦手なんだ」とすごく照れたのには驚いた。
結構モテると聞いていたから、そんなこと朝飯前だと思っていたけれど。

そんな先生も私たちと一緒に歳をとって、ロマンスもあったりしたみたいで、だんだん人間も円くなってきた。
今日は先生を囲んでスキー用具の選定の後、神保町で飲み会。
先生は以前は、スキーの話題以外は一切受付けなかった。
なんとか話題を他にふっても、無理矢理こじつけてスキーの話に戻す。
頭の中は常にゲレンデ。
顔は中々ハンサムなのに、目が据わっていて危険人物風。
それが最近は柔和に笑っていることが多くなって、普通の話題にも混じってくるようになった。
先生を人並に育て上げたのは、ひとえに「雪雀連」の山田会長の絶大なるいい加減さ、どんなに怒られても屁とも思わない女性達の図太さ。

このクラブに来るまでは、生徒から逆らわれたことは無かったと思う。
それがここでは、ありがたいお説に反対するわ、少し厳しくするとトイレに行ってしまうわ、私の様にすぐ飽きてお茶にしましょうなんて言うわで、カリカリしていた。

でもそれが良かったのです。
このグループで怪我をする人は、殆どいない。
あんまり雪が好きすぎて、顔で滑って歯を折ったのがいたけれど。
人生の達人達だから、自分の分というものを良く知っている。
競技者ではないのだから、楽しく安全に、歳をとっても滑れることを目指しているから、決して無理をしない。
全てがマイペースで、思い切り楽しむ事を知っている人達ばかりだから。

ある有名なクラブでは、酷い怪我人が毎年出ている。
講習で怪我人を出したら大騒ぎになるはずなのに、スキー連盟のえらい人がやっているので、一向に話題にもならない。
旧い考えの人なら、スポーツに怪我は付きものと思っているかも知れない。
それは大間違い。
レーサーのように限界ギリギリまで飛ばす人はいざ知らず,普通のスキーヤーは正しい運動をしていれば、他からもらわない限り怪我はしない。
それで私たちの先生の教え方は、怪我をせず、しかも優雅に,力を抜いて、となる。

この先生のお陰で、驚異的な年齢のスキーヤーが静々とゲレンデを滑っている。
顔は隠れ、最近のウエアはダボダボだから、外見から年齢は想像もつかない。
しかもスピードは追いつけないくらい速い!
私などはまだこのグループでは、ひよっ子なのだ。

今シーズンのために私は、ゴーグル付きのヘルメットを買った。
今まではヘルメットをかぶるとゴーグルが付け辛く、煩わしかったのが一気に解決。
まだ日本では少ないけれど、カナダなどでは殆どの人がヘルメットをかぶる。
バイクに乗るのと同じだと思えばいい。
自分が転ばなくても、他から衝突されることもあるから、これはお薦めですよ。



































6 件のコメント:

  1. 突然のコメント失礼いたします。
    差し支えなければおうかがいしたいのですが、6月の記事で、イギリス館での
    コンサートについて、ピアニストの太田美里さんが、けがで七年ブランクがあった、という内容を拝読しました。こちらのピアニスト太田美里さんは、桐朋学園大ピアノ科ご出身の太田美里さんでしょうか?もしそうでしたら、じつは私、
    以前一時期お習いし、お世話になったものなのですが、その後ご無沙汰しており、お怪我のことを
    存じ上げなかったので、たまたま拝読し
    大変驚いております。大変気がかりですのでもしよろしければお教え頂けないでしょうか?どうぞよろしくお願いいたします。

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    1. まあ、ようこそ!
      太田美里さんは桐朋学園ご出身です。
      彼女は今とてもお元気に活躍されていますよ。
      ご安心下さい。
      グラスが割れて指の腱を痛めてずっとピアノが弾けない状態でした。
      それがようやく癒えて演奏活動も再開していますし、お弟子さんも沢山立派に育ってコンクールに入賞したり。
      お伝えしておきますがお名前などはここで伺うわけにはいけないでしょうね?

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  2. 申し訳ありません、Googleアカウントがないので投稿が匿名になってしまいました、パソコンに不慣れなもので、失礼をお許しください。

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  3. ご返信、ありがとうございました。そうでしたか、やはり私の存じ上げている
    太田美里先生なのですね 本当にピアノを愛しておられた先生が、
    7年もの間ピアノを弾くことができなかったこと、どんなにおつらかった
    だろうかと思いました.今はご快癒なさったと伺い安堵いたしました。

    私は、かつて音大入試の際に大変お世話になった者なのですが
    さまざまな事情から、音楽を辞め、ご無沙汰をしてしまい、ずっと、
    心ぐるしく思っておりました
    (申し訳なくて、こうして書かせていただくにも気がひけております・・)

    今は、15年のブランクを経て私も再びピアノを弾いております。
    このように長いブランクを経てもある程度好きな曲を弾けるのは
    先生のおかげだと思っております。
    この夏、不慮のけがにより左小指の腱を痛め、不安を抱えていましたが、
    先生のお話を伺い、勇気が出てまいりました。

    長々と個人的なことを、申し訳ありません。遠くからですが、
    先生のますますのご健勝をお祈りしております。
    nekotama様、
    突然のコメントに温かいご返信をくださいまして
    ありがとうございました。心より御礼申し上げます。

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  4. なにか太田さんがわかる様な、あなた様のキーワードがあればいいのですが。
    連絡されたらきっと喜ばれると思うので、そうしてみてください。
    太田さんのコンサートがあったらこのブログでお知らせしますので、お目にかかれるかもしれませんね。
    手を傷められたとか、お大事になさって下さい。

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  5. 私は、98年の桐朋ピアノ科の入試でお世話になりました。あの年の受験生は先生の門下生で私のみでしたので、先生は私が誰か、お分かりになるかと存じます.自宅のある日吉から先生の当時のご自宅まで通っていました。
    わたくしもいつかはご連絡させて頂きたいと思いつつ、なかなか…。
    また先生の演奏を聞くことができたら、嬉しいです。重ね重ねありがとうございました。

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