2011年1月19日水曜日

がっかり

弓は楽器屋さんに戻っていってしまった。この業界は世間から見たら異常な高額で取引される。それは需要が多くていいものが少ないからなので、仕方がない。少しでもいいものをと眼の色変えて捜し回る。一本の棒が数百万から数千万円するのって、信じられないでしょう。でも、書画骨董だって、一幅の掛け軸が数千万することもある。同じこと。世界一高高値のヴァイオリンが18億で取引されたのは去年だったかしら。私のクラスならそれに比べて本当に安いものだけど、それでも中々手が出せるものではない。ましてもう半分引退しているようなものだから、今更という気持ちもある。でも、ほしい。欲ばりですから。見た目も音も美しいあの弓が誰の手に渡るのか。今持っている弓も決して引けをとらないので、ほんのちょっとの音質の差であと何百万と出すだけの勇気がない。でも、ほしい。欲ばりですから。今度の古典音楽協会の定期演奏会に久しぶりでソロを弾くことになった。ヴィヴァルディの「アモローゾ」愛のコンチェルト。返した弓はその曲にぴったりの音が出る。ないものねだりはやめて、今持っている弓でその音を出すように努力しよう。そうやって楽器に教えられながら上手くなっていくものなのです。だから出来る限り良い楽器を持つことが大切。だからほしい。欲ばりですから。

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