2013年2月10日日曜日

池本純子さん

女性だからお年を暴露するのは差し控えるるけれど、私たちの大先輩の池本さんは毎年コンチェルトを演奏なさっている。伴奏は古典音楽協会合奏団で、池本さんの十八番はモーッアルト。作曲家自身がよみがえってきたかと思えるようなすばらしい演奏をなさる。純粋な音、真摯な音楽。いつも本番では涙が溢れてしまう。自分も演奏しているのだから、過度な思い入れや興奮は避けて冷静にと思っても、池本さんの演奏に寄り添っている内に胸が熱くなってしまう。練習の時にはとても気弱な風で、あまりにもオーケストラに気配りしすぎて「ここはどこ?」となることがあるけれど、本番になれば堂々としたもの。もう心配はいらない。しかし、この年齢で(失礼)どこにこんなエネルギーがあるのかと思う。伴奏している私は年のせいで目が見えない、楽譜が頭に入ってこないなどと愚痴をこぼしているのに、はるか年上のこの方が新しい曲も暗譜をしてしまうのには恐れ入る。今からばらしてはいけないので曲名は言わないけれど、アンコールに古今のコンチェルトのなかでも屈指のコンチェルトの2楽章を演奏する。練習が終わると伴奏の団員たちから拍手がわいた。すっかり背中も丸くなってたぶん指も硬くなっているとは思うけれど、音楽って人柄そのものなんだなあと、いつも思う。一つ一つ、どの音もないがしろにせず、丁寧に響かせてゆく。こんな演奏家になりたいといつも思うが、私のちゃらんぽらんな性格ではとうてい無理。

2月11日 午後2時 東京文化会館小ホールにて本番です。

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