2013年2月8日金曜日

再会

今から15年以上前、音楽教室に一人の女性が入会してきた。名前はH子さん。アメリカの大学を卒業してアメリカの企業に入社したけれど、日本支社に派遣されていた。彼女はアメリカで仕事をしたがっていたので、いずれはどうしてもアメリカに戻りたいという。そして、そのために会社を変わってアメリカに行ってしまった。私が彼女を教えていたのはほんの一年半くらいだけど、ヴァイオリンも仕事も熱心で、何よりも頭がいいから一緒にいてとても楽しかった。日本にいた時もヘッドハンティングされるほどだから、よほど優秀なのだろう。新年の挨拶とか近況のメールや写真が送られてくるだけのお付き合いだったが、今回、市場開発のために日本に来るという連絡を受けた。是非お目にかかりたいから時間をとっていただけないかというので、木曜日の教室のレッスンが終わってから会うことになった。東急エクセルホテルの20階。渋谷の高速道路を見下ろすことが出来る彼女の部屋で再会した。顔も姿も変わりなく美しく、切れ味の良い話しっぷりもそのまま。なぜ、こんなぼんやりしたかつての教師を懐かしがってくれるのかわからないが、いつも気にかけてくれているのが嬉しい。彼女がアメリカに移住した頃、メールは英語で送信しないといけないかと思って、四苦八苦して辞書片手に作文をしていた。あるとき「メールは日本語で送ってくださってかまいませんよ」と言われて、ああ良かった、すごくほっとした。早く言ってくださいな。ひどいメールだっただろうな、と冷や汗をかいた。話は尽きなかったけれど時間も遅くなったので、おいとますることになった。私は東横線だからホテルから一番遠いホームに行かなければならない。途中まで一緒に歩いて、登りの階段があるから大変だからこの辺で帰ってと言うと、名残惜しそうに階段の下から見送ってくれた。H子さんほどの人でも、アメリカで女性一人仕事をして行くのは並大抵のことではないと思う。日本の規格には合わないほどスケールの大きい人だから、しかもアメリカが好きだからやっていけるけれど、何回も転職して確実にグレードアップして、財産も殖やして、本当にH子さんはえらい。彼女が投資を依頼していた証券会社が倒産した時、その会社の社員の機転で大損を免れた話、いずれ又お話したいと思います。今日はこの辺で。

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