2015年7月22日水曜日

イギリスから

ロンドンアンサンブルの今年の演目はエルガー「エニグマ変奏曲」
まだ先の事だと思っていたら、先程ロンドンのリチャードからメールが届いた。
添付されていたのは、楽譜。
15ページに及ぶ長い曲で、これは手強い。
私はおそらくこの曲は初めてではないかと思う。
日本ではイギリスの曲はあまり演奏されないので、知られていない曲も多い。
あるときハンガリー人のヴァイオリンの名手であるタマーシュに「チゴイネルワイゼン」のリクエストが来た。
彼は今までその曲を弾いたことがなかったそうで、私たちはハンガリー人なら誰でもがあの曲は十八番だと思っていた。
ヨーロッパではあまり演奏されないというので、びっくりした。

タマーシュはさすがに素晴らしい演奏をしたけれど、本番でペグが緩んだり、楽器が拒否反応?

国によって演奏する曲に差があるのは、国民性の違いや伝統の差。
日本は最初にお手本にした西洋音楽がドイツだったので、どうしてもバッハ、ベートーヴェン、ブラームスの3大B。

先年、イギリスのアルバートホールで聴いたのは、エルガーを初めとして全部イギリスの曲だった。
とても充実した演奏で感激したものの、日本ではあまり演奏されることがないのが残念な気がした。

エニグマは謎という意味だそうで、映画にも「イミテーションゲーム・エニグマ」という作品がある。
あるブログ(クリックするとリンクします)」で見つけて早速見にいったけれど、非常に感動した。
ナチスドイツの暗号をとくために集められた天才数学者の苦悩を描いた作品。
普段あまり映画を見ないので何ともいえないけれど、最近の映画の中でもとりわけ秀逸な作品ではないかと思う。

ちょっと横道に逸れてしまったけれど、メールに添付された楽譜を自宅で印刷できる、この便利さを知ってしまうと原始時代には後戻り出来ない。
文明は発達しすぎて困ったことも起きるけれど、ありがたく享受させて貰っている。

新しい楽譜を解読していくのが好きで、譜読みには努力を惜しまない。
というより譜読みが終るとがっかりして興味がなくなる。
そこが私が一流にも二流にもなれない所以。
そこからが出発点なのに。
今年初めに弾いたストラビンスキーの「兵士の物語」も、謎解きの脳トレを楽しんだ。
それにしては、いつまでも頭が良くならないのはどうして?
不思議と譜面を見ると、テンポが思い浮かぶ。
この形ならこれくらいの早さと決めると、たいてい当たっている。

で、そうやって自分を過信したばかりにかいた恥じがある。
オーケストラの練習場で、初めて弾く曲を1人で練習していた。
指揮台では指揮者の秋山和慶さんが、スコアを見ていた。
その目の前で、その日弾く曲をすごい早さでバリバリ弾いていたら、始まってみれば、その数倍も遅いテンポ。
イスから転がり落ちそうになった。
秋山さんもお人が悪い。
早く教えてくれればいいものを。
内心「あんなに早く弾いて、後でびっくりするなよ、アハハ」なんて思っていたかも。













2 件のコメント:

  1. どうも、リンクいただきありがとうございます。 やっとアランチューリング伝の上巻読み終わりました、数学が難解でした。
    だれか言ってましたが、「数学と音楽は共通点がある」って。どちらも解読力が必要なんですね。
    エニグマ変奏曲、やっとYouTubeで聴いて、ああこんな曲だったんだ、と思いました。
    それにしてもオケで演奏する人たちって、すごい集中力ですよね。やっぱり音楽やる人は違うなあ、って思ってしまうのです。

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  2. 音楽をやる人は・・・違わないです。が、その場でなにがなんでも集中しなければならないので、そのへんはやはり訓練です。若い頃は泣きの涙で譜読みして緊張しまくって、我ながら可愛いかったと思いますが、いまや古狸。矢でも鉄砲でも持ってこーい、てなもんで。チューリング伝、私も読んでみます。まだ本買っていないけれど、数学が出てきたらお手上げですかね。

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