2010年9月12日日曜日

ヒコベエを読んで母を思い出して涙。

ヒコベエの母は、高邁な精神を説く武士の家系の父親とは反対に、土に足の着いた農家の出身。38度線を3人の子供を連れて生き抜いた逞しさを持っていた。それで、私も思い出して涙したのは自分の母のこと。戦時中結核を患い、体がよわかった。いつも子供たちに先に食べさせて、私たち兄弟が一緒に食べるよう促すと、お腹がいっぱいだからと言って食べない。でも、母が食べていないのは知っているから、私たちはそれを叱っていた。でも、子供のことだからいつの間にかうやむやになって。そんなことの繰り返しだった。いつも感じていたことは、この母はじぶんの子供を守るためなら、どんなことでもするだろうということ。自分の命を投げ出すだろうということ。近年、母性愛とは自分の遺伝子を残すための、非常に利己的な行為であるといわれるが、それだけで出来るものではない。たしかに母は口うるさく、自分の羽の下に子供たちを抱え込んで離さない。家族は唯々として母の命令に従わなければならなかった。でも、言うとおり動くとたいていはうまくいくので、みな云うことをきくことになっていた。ようするに女帝卑弥呼様だった。それだけなら、必ず反発するものが出るはずなのに、一人の子供も道をはずさなかったから、立派といえる。強いて言えば私のこと。ヴァイオリンなど弾いて、堅気でない世界にいるのが余程お気に召さないのか、死ぬまで嘆かれた。まだ、ヴァイオリン弾いてるの。迷惑だから早くやめなさい、と。

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