2015年4月25日土曜日

ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲

音楽教室「ルフォスタ」の生徒が今年の発表会にベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」の3楽章を弾きたいと言ってきた。
彼はものすごく努力家で、子供の頃からヴァイオリンを習っていたけれど、今は企業戦士として多忙な日々を送って居る。
毎年、教室の発表会では難曲に挑戦して、サンサーンス「序奏とロンドカプリチオーソ」ブラームス「ヴァイオリン協奏曲」などを発表してきた。
恐ろしく忙しい仕事の合間を縫って、努力を惜しまず練習してくる。

この教室では小編成ながらオーケストラの伴奏も出来る。
クラシックの弦楽器の講師は全員オーケストラ経験者、フルート、クラリネットなどの管楽器の講師も居る。楽器が足りないところはピアノで補充。
今までメンデルスゾーンの協奏曲などもオケ伴でやってきた。

今年はベートーヴェンの3楽章を弾きたいと言ってきたので、まず「ラッキー」と思ったのは、最近ファゴットの講座が新設されたことで、この3楽章はファゴットが大活躍をする。
スケジュールが合うかどうかわからないけれど、ファゴットを吹いてもらえたら素敵だなあと、期待している。

久しぶりに見る私のベートーヴェンの楽譜は、黄ばんでページの端が汚れ、譜めくりすると紙が破れそう。
ものすごい量の書き込みがあって、よく練習したように見える。
学生の頃私は、神奈川県青少年オーケストラのトレーナーをしていた。
卒業のお祝いにこの曲を、オケ伴で弾かせてもらった。
オーケストラと一緒に弾くと実に気持ちがいいものだと、その時思ったけれど、生憎ソリストとしてはそれほど優秀ではなかったので、フルオーケストラと弾いたのはその時と、後1回だけ。

参考までに見ておこうと思って、youtubeでこの協奏曲を探してみると、ツィンマーマンが弾いている。
その後、オイストラッフのものも見つけた。
しかし、なんだか変。
怒っているような演奏。
伴奏の管楽器が完全に遅れて居て、おそろしく無愛想な顔のオイストラッフはおかまいなくどんどん弾き進む。
途中でいやになって見るのをやめた。
次はグリュミオーを見つけた。
貴族的な風貌と端正な音楽。
これほど外見と音楽がピッタリの人はいない。

実はこの曲には良くない思い出があって、卒業試験でこれを弾いてこけてしまった。
卒業試験には絶対これを弾くと決めたのは私で、先生はもう少し華やかな曲を弾いた方が良いとおっしゃった。
頑固にベートーヴェンに拘って、展開部の和音を間違えて沈没した。
チャイコフスキーなどにしておけば良かったと後悔した。
思えば大生意気だった。
こんなに実力がもろ出てしまう曲を選ぶなんて。
ちょっと思い上がっていたかも。
先生のがっかりした顔に、申し訳なさいっぱいだった。

先生の言うことをきかない生徒はだめですねえ。

東響の入団テストもこの曲。
その時は上手くいって、当時のコンサートマスターの杉谷さん、鳩山さんからたいそう褒めていただいて、その後鳩山さんと常に室内楽の共演をさせていただく切っ掛けとなった。
卒業試験で上手くいけば学校のポストが用意されていたらしい。
学校とオーケストラが密談して「あの子はうちでもらうから」みたいに、私の去就を勝手に決めていたことは後できいた。
学校の思惑に反して試験をこけたので、オーケストラが「こっちおいで」と言ってくれた。

オーケストラが面白かったから、私の人生「塞翁が馬」的であるとつくづく思う。


















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