ジャズピアニストのSさんと私は誕生日が一緒だというので、今日は合同の誕生祝い。
奥さんのK子さんが元私の生徒。
Sさんはジャズ界の重鎮、ライブと音大のジャズ科の講師として活躍中。
非常に人気のあるピアニストで、ファンが多いと聞く。
2人の誕生日が一緒というのは奥さんが覚えていて、当の本人達はすっかり忘れていた。
昼頃、お嬢ちゃんを連れて登場。
彼女は明日から小学校に入学するそうなので、それを聞いて再会するまでの年月を知った。
マルチに才能のある様子で、何をやっても良い線いくのではと思わせるものがあった。
明日、入学式の後で、初めてのヴァイオリンの先生に会うという。
ヴァイオリンを習いたいと言ってくる人に初めに訊くのは、本当にこの楽器がやりたいのかどうかということ。
まず、楽器をケースから出す。
弓を張る。松ヤニをつける。
調弦する。
その際に駒がちゃんとした場所に立っているか、弦が劣化していないかチェック。
駒のほんの少しのゆがみや場所のずれで、音色はガラッと変わってしまう。
調弦が出来るようになるまでに長い時間がかかる。
大人になってから始めた人の中には、どうしても調弦が出来ない人がいる。
弓で二本の弦を同時にならしながらペグを回し、5度の響きで音が合ったかどうか聞くのは、大変な事らしい。
弦を2本同時に弾くことが出来ない人も中にはいて、そうすると延々と調弦のレッスンまでしなければならない。
それが終ってやっと練習曲や音階にいくと、もうレッスン時間のあらかた過ぎていることも。
今日の子は、難なくクリアしそう。
初めて会った時に、この子はヴァイオリンは無理だとか、向いているとかは大体分かる。
向いていない子には、こんなワケのわからない楽器はやらせない方が良い。
それは勤勉とか知能とか関係なく、ヴァイオリンほど向き不向きの出る楽器はないから。
今日はSさんの演奏という、うれしいプレゼントがあった。
ブラジルのピアニスト、エグベルト・ジスモンティの「セブン・アナイズ」という曲。
私は初めて聞いたけれど、親しみやすい旋律が始まり、その後はSさんの素晴らしいアドリブが始まった。
恐ろしいほどの集中の仕方で、どんどん進んでいく。
楽譜には初めのテーマは提示されているが、後はコードネームと簡単なメロディーが書いてあるだけ。
それが鮮やかに華やかに変身して行くのを聞くと、ジャズのアドリブの出来る人はいいなあと思う。
ジャズはアドリブがものを言う、クラシックは楽譜を忠実に弾く。
あるときジャズのプレーヤーに「楽譜がなくてよく弾けますね」と言ったら「楽譜があってよく弾けますね」と返されてお互いに笑ったことがある。
アドリブが出来るのは実に羨ましい。
私の大学の後輩にジャズサックス奏者がいて、暫く一緒に仕事をしたことがある。
色々話しを訊くと、やはりアドリブがちゃんと出来るようになるには、10年かかったそうだ。
それまでは、有名なプレーヤーのアドリブをコピーしながら勉強したという。
彼は今ではすっかり有名になっていて、本を出したりしているけれど、苦節10年、どの世界も厳しい。
今日のように、こんな人気ジャズマンの演奏を目の前で聴かせてもらうのは、最上の贅沢。
その後でK子さんと私で簡単なデュエットを、楽しんだ。
久しぶりで再会して、こうして一緒に弾けるのが一番の幸せ。
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