2012年10月21日日曜日

東京音楽大学弦楽アンサンブル演奏会

曲目はモーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」テレマン「ヴィオラコンチェルト」メンデルスゾーン「弦楽8重奏」コンサートマスターは齋藤真知亜氏、ヴィオラのトップとソリストは店村眞積氏という豪華なメンバーだった。2年生から4年生までの選抜メンバーで、ヴァイオリンは20人ほど、その中にかつての教え子も緊張した面持ちで座っていた。幕開けはエキサイティングだった。客席と奏者がシーンと静まるまで、かなり長い間待ってから、急に始まった。その見事な集中力はコンマスのパフォーマンスによるもので、はつらつとしたモーツァルトがステージを走り回っているような、そんな素晴らしさだった。とても学生オケとは思えない出来栄えだった。ただし、ゆっくりの楽章で多少傷が出た。音程と音のずれが気になった。ほんの僅かだけれど、古狸の耳はちゃんととらえている。ゆっくりの曲ほど難しいのは肝に銘じてもらわないと。コンチェルトはチェロの活躍が心地よかった。指揮者なしでソリストにさりげなくつけて行くのは、高度なアンサンブルの力を必要とする。それもステージではヴァイオリンからも遠く、音の時間差が生じてしまうのをうまくカバーしていた。最後のメンデルスゾーンは、ヴァイオリンが左右に分かれて座ったために、時々時間差が出たのが惜しい。でも、これほど学生のアンサンブルが上手いことは、指導者とコンサートマスターの力もさることながら、学生たちの水準が私たちの時代よりもはるかに上がってきていることを感じさせられた。この中から世界に羽ばたく音楽家が何人か出ることだろう。未来に羽ばたいていく若者に、老いてゆく私の心の傷がどれだけ癒されることか。

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