2012年10月21日日曜日

うれしい招待

ニッセイ・バックステージ大賞の授賞式への招待に続いて、もう一つうれしい招待。かつての教え子が今、東京音大の2年生。その子が学内で弦楽アンサンブルのメンバーに選ばれ、演奏会があるので聞いてくださいというので、昨夜出かけた。2年生から4年生までの選抜に入ることが出来たのは非常に幸運で、齋藤真知亜氏がコンサートマスター、ヴィオラの店村眞積氏がヴィオラのトップでソリストという豪華なメンバーの中で、白くて小さな顔が緊張しているのがいとおしい。彼女がうちにやってきたのは小学校1年生頃だった。それまで関西方面にいてヴァイオリンを始めたばかりだった。お父さんの転勤で関東に移り、私のところへレッスンに通うようになった。ところが見るとひどい姿勢とボウイング。とんでもない形をしているのに、曲は初歩ながら上手く弾いている。とにかくヴァイオリンニストになりたいと言うので、まず姿勢から直すつらい作業が始まった。私が考えたのは音楽とアンサンブルの楽しさを教えることだった。基礎さえしっかりしていれば、曲造りの細かいところは大人になってからやればいい。とにかくヴァイオリンを嫌いにさせてはいけないから、粗削りでも我慢して、色々な曲に挑んでもらった。小学校5年生でメンデルスゾーンの協奏曲やラロのスペイン交響曲を弾くくらいまでになった。そのうえ、月に一回うちに生徒たちを集めて、出された曲を初見で次々に合わせて行くことをやらせたので、初見力と人の音を聴く力が身についてきた。音階だけは子供だからと言って妥協しないで、カール・フレッシュの教本をとことん弾かせた。その結果、ハ長調だけで一年もかかって、生徒も親も、そして私もうんざりした。中学生になると私が以前から尊敬していたヴァイオリニストにレッスンをしてもらうようになって、ますます練習に励んでいった。つらい受験の結果第一志望はだめだったけれど、東京音大に入ったのはむしろ幸運だったと言える。憧れの先生に師事できて、今素敵に充実した毎日を送っているとか。この子の夢は私の夢でもある。着実に歩いて行き、本当に良い音楽家になってほしいと祈っている。

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