2013年3月26日火曜日

楽友

昨夜、東京文化会館小ホールで古典音楽協会の60周年記念定期演奏会が行われた。私がこの合奏団に参加する様になったのは、故三瓶十郎先生が亡くなられた前後。前後というのは、亡くなられる前にヴィオラのエキストラで時々演奏していたからで、その頃先生はすでに自力で歩くことさえおぼつかなかった。音楽とこの楽団に対する愛情と執念で指揮をなさっているようで、その姿は鬼気迫るものがあった。そして先生は亡くなられ、私はその直後から正規のメンバーとして加わるようになった。初めの頃はヴィオラを弾いていたのが、ヴァイオリンに一人欠員が出来たのをきっかけにヴァイオリンに移り、コンサートマスターの角道氏の隣で弾くことになって今日に至っている。今までどのくらいの年月になるか考えたこともなかったが、昨日のプログラムを見ると三瓶先生が亡くなって約30年経つという。それなら私も参加して30年!私は猫の性格だから縛られるのが大嫌い。大抵の団体に属しても3年保てばいいほうだったのが、なんと、この合奏団には居着いてしまった。他のメンバーもやめる気配もない。日本の合奏団の多くが途中で分裂したり消滅したりしている中で、ここだけはメンバーの不動を誇っている。それに加え、お客様たちも不動で、私の友人知人たちも、ほとんど毎回聴きに来てくれる。演奏者も聴衆も同じように年を重ねているので、客席からは暖かい応援を受けているのをいつも感じている。そして昨日はなんと満席で、急遽補助椅子を出すほどの入りだったそうだ。終了後ロビーは人でごった返していた。なぜこんなに長く続いたかといえば、人間コンピュータの角道氏が全ての企画を全責任を背負って決定する。それに対して意見を言わないわけではない。ちゃんと考慮はしてもらえるが、最終決定はお任せしている。つまらない競争やひがみなどがないのが不思議なくらいで、誰もが決定されたことの遂行に全力投球する。全員がソロを弾くように言われれば、ソロが出来るだけの技量は持っている。こんなことが長続きの理由ではないかと思っている。メンバーの皆が年をとっていくのでいつまで続けられるかわからないが、得がたい楽友たちとの残りの時間を大事にしていきたい。

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