2013年10月15日火曜日

オーケストラは軍隊

3日間清里付近の自然村で学生さながらのオケ練。朝から夜まで弾いたのなんのって、最近こんなハードな練習もめずらしい。特に今回はヴィオラを弾いたので楽器が重い。しかし、弾いた事に依る疲れは殆どなく、目からくる疲労とそれに伴う集中力の低下が大敵だった。指揮者の飯守泰次郎氏は初めに練習場に入って来られたときにはお年相応にみえたのに、練習が進むにつれてみるみるうちに若返っていく。お顔はつやつや、目は輝きを帯びて内面から精気が迸ってくる。疲れをしらない迫力に圧倒されて、やはり長年世界で活躍されたパワーを見せつけられた。それに引き替えプレーヤーは疲れが蓄積されて、こちらから見るとヴァイオリンの人達の目は充血し、一様に顔の色がくすんで見えた。無理もない。長年ハードな練習を何十年も続けてきた人達にとっても、オーケストラで弾くのは傍で見るよりずっと大変なのだ。まず楽譜を二人で見るということ自体が我々の年齢になるととても辛い。視力の低下やゆがみ、かすみなど真っ正面から楽譜を見るのとは条件がまったく違う。私はオーケストラの譜面をもらうと練習するときに、右寄り左寄り、両方を試して楽譜の見え方をチェックする。仕事場に行ってから座る場所がわかるので、内側に座るか外側に座るかわからないからなのだ。そして音の量の圧倒的な違い。オーケストラは指揮者に合せながらもお互いに聴き合って合せていかなければいけない。そのために非常に耳をそばだてる。同じセクション同士聞き合って合せるのはもちろんのこと、今どこがどんなことを演奏しているのか聞いていないと暴走する。経験を積んでいない若い人達は弾くのは上手いけれど、自分が弾くことに夢中になって、他の音を聴かないので自分の役割がわからない。若いすてきなお嬢さんもせっかく管楽器が美しいメロディーをかなでているのをかき消す勢いで弾いている。お上手なのはわかったから他の音を聞きましょうね。練習は朝から夜9時過ぎまで続いた。誰一人文句は言わない。皆が素晴らしい音を出すためという目標に向かっているから。軍隊の訓練のようにコンサートマスターと指揮者の言うことは絶対に守らなければならない。体力の限界を超えていようとなんだろうと、私語もせずに我慢強く練習をする。食事の時間と合間の15分間の休憩だけで一日楽器を弾く生活はもう過去になっていたはずなのに、こんな目に遭うとは。しかし、本当に幸せなことなのかもしれない。まだ演奏が出来てシンフォニーが弾けて。特にブラームスの2番は牧歌的なホルンの美しいメロディー、最後のトロンボーンの勇壮な響きなど胸がいっぱいになって涙が出そうになる。ヴィオラにもたっぷりすてきな旋律を用意してくれている。これだけ弾いても肩も凝らず腰も痛くならず・・・ざんねんなのは目がかすむこと。白内障の手術をした人が「世の中変わった」ほど良くなったと言うので私もしたいと言ったら、医者が白内障でもない人の手術はできないと言う。それもそうだけど。













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