両親兄弟そろって巫山戯てばかりいる家庭に育たったから、まともな社会に出てから苦労した。うっかり初対面の人に冗談を言っていやな顔をされたのは数知れず。真面目とか勤勉などの美徳をよしとせず、いかに上手く冗談を言うか、はぐらかしがうまいかどうかなど、吉本興業の家庭版みたいで、うっかりまともに答えるとバカにされるようなへんてこりんな家庭だった。小さいときに刷り込まれたくせは中々治るものではない。大人になってもそれで、だいぶ仕事も友達も減ったのではないかと思っている。奇人変人の多いガクタイ稼業だったから、周りもみんな変だったお陰で私もなんとか生き延びられてきた。それでも最大の失敗は忘れた頃にやってきた。
この話度々書いているので、もうご存じかもしれない。一時期オーケストラを離れて芸能界に片足突っ込んでいたために、オケの仕事を再開した時は会う人皆20年ぶりだった。皆さん懐かしがってくれて、又すんなりとオケの仕事に復帰した頃、再会したコンサートマスターはIさん。昔話をしていたら、こんなことを言い出した。かつてバレエ「白鳥の湖」では、あの有名なヴァイオリンソロを弾くとき、コンサートマスターはそこだけ立ち上がって演奏した時期があった。今でもそうなのかしら。さて、話の続き。「(白鳥の)ソロを弾いていたら『Iさん、立って弾いて下さい』って言われたんですよ。僕立っていたのに」Iさんは男性にしてはとても小柄で、私より少し背が高いくらいだった。私は大笑いして「あら、そんな失礼なこと誰が言ったんですか」すると小柄なコンサートマスターはじっと私の目をみて、やおら私の鼻に人差し指を突き立てて言った。「貴女ですよ」言った方はとっくに忘れているのに、言われた方はずっと根に持っていたとみえる。そのあともIさんは仕事に誘ってくれたりしたから、本気で怒っているわけではなさそうだと思うのはこちらの都合良い解釈かも。
このブログでも時々悪ふざけをして、物事を面白くしようと企むことがある。すると余計なことは書かない方が良いといち早くチェックが入るから、削除。よせばいいのに、削除したことなども書く。すると又余計なことは・・・つい、子供の頃のおふざけ体質がねえ。親のしつけなんです。
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