2013年10月30日水曜日

パリ管弦楽団カルテット

『フォーレ』『ラヴェル』『ドビュッシー』
これはもうフランス物の定番を並べた、涎の出そうなプログラム。白寿ホールにて。
人に頼んでチケットを買ってもらっていたので座席が前から2番目。しかも端っこ。
いっしょに行った友人のNさんと「わー最悪」と言っていたのだが、このホールはステージが低くて音響が良く、前のほうでも臨場感溢れる感じで中々面白かった。
それでも後半は後ろの席に移って聴くと、やはりカルテットとしては纏まって聞こえる。
横幅が狭く縦長の会場なので、1番後ろの席は少し音が遠く聞こえるのが残念な気がする。
音響はすごく考えて作られているのだが、どの会場でも完璧にという訳にはいかない。その会場毎の音響のスポットを知っておくと、次にチケットを買う時に役に立つと思う。
さてパリ管メンバーお家芸のフランスものとなれば、掌の中にすっぽりと入るほどこなれた曲だと思う。
曲のどの部分も完璧なハーモニー、洗練された表現、音の良い意味での軽さ、絶妙のピアニシモ。
聴いていて不意に「ヴェルヴェットのような夜の闇」という言葉が浮かんできた。なんだか訳がわからないけれど、詩的にちょっと想像してみて下さい。
ぬばたまの漆黒の闇夜。シーンとした中に神秘的ななにかが現れては消える。光だったり神々しいものだったり。
フランス音楽というと理性よりも感性に傾くと考えられがちだが、どうして、ラヴェルなどは恐ろしく理性的。計算され尽くした組み立てだから、感情にまかせて弾くことは出来ない。
器械のように歯車がかみ合っていないと、ラヴェルの音は出ない。私も何回か『カルテット』も『ピアノトリオ』も演奏したが、自分で演奏してみて初めて曲の仕組みを知ったときに、びっくりするほど理性的なまるで数学のようなものだと思った。
それなのになんと豊かな色彩感が出るのだろうか。
天才だからといってかたづけてしまおう。
凡才は黙って楽譜に忠実に音を拾い、何とかして美しい音を出せるよう頑張っていくしかない。それにしても今日の演奏のような音、いつか出してみたいなあ。

























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