2015年6月27日土曜日

安原太武郎オーボエリサイタル

太武郎くん、カタカナで書くとタブロー、フランス語で絵画のことらしい。
オシャレですね。
ご両親が芸術家なので、こういう名前がつけられたけれど、お母さんの話では「間違えて、ぶたろう君なんていわれるのよ」
お母さんは私の長年の相棒として一緒に室内楽を楽しんできた仲間で、これは息子さんの幼稚園の頃の話し。

お父さんはオーボエ、お母さんはヴァイオリンの音楽一家。
ご両親はかつてドイツのオーケストラで活躍、息子さんもドイツで大学院を卒業して現在セントラル愛知交響楽団メンバー、名古屋芸術大学などで教えている。ロストロポーヴィッチ・コンサートキャラバン、サイトウ・キネン・フェスティバル松本等々のコンサートに出演している。
かながわ音楽コンクール管楽器部門第一位。

すっかり次世代の演奏家の時代になったとの印象が濃い。
友人の息子さんが立派な音楽家として演奏するのは、とても嬉しい。

テレマン   無伴奏オーボエのための12の幻想曲より第3番
ミヨー    オーボエとピアノのたっめのソナチネ 作品337
カリヴォダ  コンチェルティーノ作品110
ブリテン   世俗的変奏曲
プーランク  ピアノ、オーボエ、ファゴットのための三重奏曲

オーボエは東洋的な哀愁を帯びた表情と、鋭角的な現代的な鋭さを持ち合わせた魅力的な音で私たちを魅了する。
管楽器の中でも独特の個性の強さが見られる。
オーケストラのチューニングでオーボエのA音が聞こえると、もうそこからコンサートは始まる。
子供の頃から、あのチューニングのA音を聞くと、わくわくしたものだった。

特にオーボエ用に作られた曲は少なくて、ロマン派の曲は殆ど無いらしい。
今日もバロックと現代物ばかり。
こうやって聴いてみると、バロックは柔らかく現代物は鋭く、けっこうオーボエという楽器の特性に合っているようだ。
お父さんも名手だったけれど、息子さんもさすがの腕前。

最初のテレマンは随分緊張していたようで、しかも無伴奏だったために息継ぎがすごく難しい楽器だというところが見えて、少しはらはらした。
オーボエは息がこれでもかと言うほど長い。
どこまで息を吸わないで居られるのだろうかと、心配する。
まあ、これは余計な心配だけれど、息を沢山使わないので余ってしまって、苦しいのだそうだ。

彼は音そのものも素晴らしいけれど、音楽家の両親から受け継いだ音楽性がごく自然にわき上がってくるので、これ見よがしの所がなく非常に良かった。
私は赤ちゃんの頃の彼に会っている。
あの赤ちゃんがこうして立派な音楽家に育って、こんな良い音を聴かせてくれるとは・・・
少しジーンときた、嬉しいコンサートだった。














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