2015年6月22日月曜日

生きる栄養素

私の予想では、この終末はモヤの最後を看取っているはずだったけれど、なんとなんと、モヤはかなり元気になってきた。
先週の土曜日、モヤは点滴の液も入らない状態までやせ細り、せっかく注入した栄養剤もみな吐いてしまった。
身体が皮と骨ばかりになって、液が入っていかないといわれ、口から物を食べる事も水を飲むこともできなくなった。
今までの経験だと、こうなってしまうともう助からない。
自力で食べられなければ、一切手を貸さずに自然に消滅というのが、私の作った規則だった。

たまさぶろうもその規則に従って、天国へ行ってしまった。
しかし、モヤはすごい!
えさ場に張り付いて、なんとか頑張って食べようとしている。
その姿を見ていると、鉄則を破ってしまった。
ちゃおちゅーるというペースト状の猫のおやつ。
長方形の袋の先を切って、そこからペーストを押し出す。
猫がそれをなめるという仕組み。

袋から直接なめることが出来ないので、まず、指先でペーストをモヤの口の周りに塗る。
すると、それを舌で舐める。
ほんの少量から始まって、何回も何回も少しずつ舐めさせる。
始めのうちは舐めても中々飲み込めない。
お水もボールから直接飲めないので、始めはティッシュに含ませて、口元を湿らす。
なんだか末期の水みたいと、涙ながらに与え続けた。
その内、スプーンで少しずつ喉に流し込む。
それも喉を通るとき、苦しげにゴッホゴッホとやっと飲み込む。

それでもヒマさえあればペースト・水・ペースト・水とやっていったら、私もコツがつかめたけれど、モヤはどんどん飲み込むのが上手くなってきた。
元々賢い子だから、自分がなにをされているのか、良くわかっているようだ。
身体は殆ど空気のように軽くなって、抱き上げると骨の感触しかないくらい痩せている。
一昨日まではお風呂場のバスタブのなかに入り込み、出てこないから、散歩や買い物から帰って汗を流したくても、シャワーが使えない。
どかそうとして抱き上げるといっぱし文句を言う。

ところが昨日はしきりにエサをねだるようになってきた。
ペーストをなめる量も前日までの3倍くらい・・・と言ってもやっとチューブ1本完食ていど。
それでも昨日はチューブを3本位は平らげている。
量としては本当に少ないけれど、食欲があきらかに出てきた。

舐める力も強く早くなって、今まではチューブ半分もいくと本当に嫌そうに拒絶したのが、今日は美味しそうに催促するようになった。
そばつゆの入っていたポリ容器に水をいっぱいにして、ちょっと容器のお腹を押すと口から少しこぼれ出る。
それをモヤの口元に何回か持って行くと、そこから少しずつ舐めとるように飲み始めた。
それもお互いに練習の成果が出て、上手くなっていったので、水分も足りてきた。

便秘していたらしく何回もトイレに通ってはいきんでいたのが、昨夜はトイレに便がかなり出ていた。
それですっきりしたのか、おやつのチューブ1本分をぺろりと平らげ、私が食べていた鰺をよこせと大騒ぎ。
まだ固形物は入っていかないらしく、途中で諦めたけれど。

モヤは長い間タマサブロウと他の猫たちの間で、目立たなくひっそりと生きてきた。
それが、タマがいなくなり、その前にナツメという子もいなくなり、
今はコチャという猫と二匹だけ。
しかも具合が悪くなってからは、一気に私の関心が自分に向いたので、有頂天。
いまやすっかり甘えん坊の食いしん坊になってしまった。
老い先短いからこの先も思いっきり甘やかしてあげようと思っているけれど、あまりの甘えっぷりにいささか手を焼いている。
モヤがこんなでは、家を空けて遊びに行くことも出来ない。
飼い主は放浪癖があるから、家の中にジッとしてはいられない。
それでもモヤが生きている内はなるべく家にいて、幸せに天寿を全うさせてあげたいと願っている。

モヤの回復は、たぶん愛情を栄養としたもの。
今まで半分以上タマに持って行かれてしまった愛情を目一杯注がれて、それが生命力につながって居るのではないかと思う。
愛されることが生きる力になるのは、猫も人間も一緒。
さっきバスローブの紐にモヤがじゃれついて、ビックリした。
ほとんど余命数日だったはずなのに。
こんな時にも遊びを忘れない、明るくて幸せなモヤ。

今朝はチューブ半分でエサを拒否。
中々思う様には良くならないけれど、焦っても仕方がない。















3 件のコメント:

  1. うんうん、モヤちゃん、頑張れ。心おきなく甘えてね。

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  2. 今日はもうあまり食べなくなりました。
    昨日が頂点だったようです。
    この辺でそろそろ手を緩めてやらないとかえって苦しめることになりますが、その決断が難しいのです。

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  3. ううう・・・・しかたないけど、やっぱり悲しい。

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