2015年6月18日木曜日

モヤは私の天使

先月今月半ばまでは絶不調。
激しい咳の出る風邪を背負い込んでしまった。
それにしてはあちらこちら歩き回っているではないかとお叱りを受けそうだけれど、やらなければいけないことも多々あって、しかも多動児だから寝てはいられない。
最近の疲労感は半端でなく、これでもうお終いかと・・・は思わないけれど、ほとほと年齢を感じさせられた。

その上、我が愛する飼い猫のモヤ。
5日ほど前に絶望的な状態となった。
食べない飲まない、腰がふらついて息が苦しいといった末期的症状。
この子もたまさぶろう同様、お星様になってしまうのかと思っていたら、私と一緒に回復し始めて、今は以前と変わらず飄々と生きている。
飼い主にシンクロしなくても良さそうなのに、なんせ不思議猫だから超能力で飼い主の体調の影響を受けてしまうらしい。
私がもっと悪くなったら、命を捨てて守ってくれそうな、そんな猫なのですよ、この子は。

余りにもやせ細り、骨と皮ばかりになって息苦しそうにしているから、動物病院で水分補給の点滴と、鼻炎のための抗生物質を注射したら、あっという間に鼻炎がなおってしまった。
すばらしい生命力!
次の日も点滴にいって帰宅したら、丁度点滴した分くらい大量に吐いたので、かえってそれは負担になったのかと反省。
いつものように自然に任せることにした。

いつも密やかに悪だくみや悪戯をしているような雰囲気の子だけれど、賢く優しく何よりも生命力に溢れている。
何回も言うけれど、私が病気の時は枕元に付き添ってくれ、優しく顔をなでてくれる。
そっと爪を出さないように柔らかい肉球で。
どれほど癒やされることか、猫によって心臓の鼓動まで静まってくるのだから。

動物の癒やし効果は絶大で、猫がいなければ私は随分ストレスがたまったと思う。
先日獣医さんにモヤの年齢を訊かれ、さあ?と言ったら旧いカルテを出してきて「17年前に拾ったから17才以上だね。良く長生きさせてあげたね」とお褒めの言葉。
そのカルテは以前この病院の先生だった人の手で、市立××病院の庭で保護と書かれていた。
書いた先生は、宇崎竜童似のヒゲの先生。
普段私や姉、姪から陰で「ヒゲ」と愛情を籠めて呼ばれていた。
ブッキラボウで口が悪くズケズケと言うけれど、どんな時でもすぐに飛んできてくれた。
優しくて、捨てられた犬猫を保護して、病院はそんな子達でいっぱい。
これでは儲からないじゃないと他人事ながら、私はいつも心配していた。

あるとき台風が来ると予想されていた日の、早朝の出来事。
近所を散歩していて、川の中州に猫がいるのを見つけた。
その川は両岸を高い鉄板で囲ってあり、ねこのジャンプ力をしても到底上がれないと思われた。
私はどこかに抜け道がないかと探したけれど、見当たらない。
新聞配達のお兄さんが私の困った様子を見て協力してくれたけれど、やはり猫は出られない。
これで台風が来て大雨になったら溺れてしまう。

その日の昼頃、もう1度行ってみると、猫はまだそこにいる。
それで助けを求めたのがヒゲ先生。
昼休みは自宅に居ることを知っていたから、電話をしてみた。
おそろしく不機嫌だったけれど、しぶしぶ来てくれた。
「なんで電話するんだよー」とブウたれる。
獣医さんはさすが猫には恐ろしいオーラが出ていたらしく、必死になった猫は鉄板の途中にあった排水口に飛び上がって姿を消した。
ブツブツいうヒゲに私は「そんなに文句言うと、先生が困っても助けてあげないからね」と悪たれた。

そのことを後でどんなに後悔したことか。

その時ヒゲは咽喉ガンの末期症状だったらしい。
私は「どうしたのその声、又飲み過ぎたんでしょう」なんて・・
知らなかったとはいえ、本当にごめんなさい。
ヒゲ先生が逝ってしまってから、姉たちとよく話した。
ヒゲは本当に良い人だったね、と。

今の先生はヒゲの甥にあたる。
しばらくヒゲ先生の思い出話をして、モヤを連れ帰った。

モヤはもう長くは生きられないけれど、悲しまないで送ってやりたい。
思い出しきれないほど沢山の猫を保護してきたけれど、これほど生きることを楽しんでいた猫は他にはいない。
いつも涙目で喉鼻がゼロゼロいって苦しそうだったけれど、陰でニコニコして悪さをしていた。
モヤは私の天使。


































4 件のコメント:

  1. モヤちゃん、復活してよかった。nekotama様を守ってくれているんですね。
    少しでも長く幸せな時間が続いてくれますように。

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  2. 復活といっても、もう時間の問題かと。
    猫を沢山飼ったお陰で、終末の在り方が良く分かりました。
    モヤは賢くて、たぶんすごく幸せなニャン生だったと思います。

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  3. ああ、そうですね。
    ペットを飼うのが今の愛犬がはじめてで、そういう実感でわからないことを軽々しくいうのもどうかと思って。 ええ、すごく幸せだったからニャンコもなんとなく終わりが近いことをさとって、名残惜しそうにしているのかも。 nekotamaさん、いい飼い主なのですね。

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  4. 私がいい飼い主というより、モヤがいい飼わせ主なのかもしれません。
    動物は自然に人間に色々なことを教えてくれますね。
    飼い主は最初は保護してやっていると思っていても、最後には来てくれてありがとうみたいな気持ちになります。ジュニアくんもとても大きなプレゼントをしてくれていると思いますよ。

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