日テレの24時間テレビの仕事は、この放送が始まった初めの頃からのお付き合い。
途中、私も色々忙しく、出たり出なかったりしていたけれど、最近は又、古巣に舞い戻って毎年のように出演させて貰っている。
だから1年に1度だけ、同じ顔ぶれが揃うので、七夕様の織り姫、彦星のようだと言いあう。
織り姫も彦星も大分古くなったけれど、毎年の楽しみの一つ。
ガクタイはあまり年をとらない。
白髪や腰痛がでても、中身はやはりアホなまま。
この場合のアホは知能が足りないという意味ではなく、頭は皆平均以上に良いのだけれど、人間の成熟度が低い。
良く言えば、万年青年。
悪く言うと進歩がない。
唯我独尊、我が道を行く。
そうでないと、楽器を弾くなどと言うこんな七面倒くさいことをこの年まで、やってはいられない。
他の職業ならとっくに偉くなって、部下に仕事をやらせていられるのに、この仕事は自分で演奏しなければ、ギャラがもらえない。
実に進歩のない職種と言える。
22日23日の本番に向けての、リハーサルと録音が行われた。
久しぶりに録音スタジオに入って、次々と録音していくうちに勘が少しずつ戻ってくる。
スタジオプレーヤー達の初見力と応用力にはびっくりさせられる。
一回リハーサル、すぐに本番なんてことも多い。
一回のリハーサルで、音の間違いを見つけたり、難しい箇所をチョコチョコッと練習して本番に臨む緊張感に、中々私はなじめなかった。
私はステージの仕事が好きで、マイクに向かって弾くのはとても緊張する。
ほんの一寸したミスもマイクは拾ってしまう。
誰かがミスすれば、もう一度取り直し。
ミスをした人は自分のせいだから、大変恐縮する。
ある時テレビの仕事で、フルートを吹いていた人がどうしても上手く行かない箇所があって、本番前の休憩に入ると死にものぐるいでその箇所を練習していたのを見た事があった。
何回も何回も、自分のために時間をむだにさせてはいけないという思いで、必死になっている。
まわりの仲間達は「おい、あいつ死んじゃうぞ」と言うくらいに。
本番はどうにかクリア。
いつも陽気でバカばかり言っていても、心底真面目な人達なのだ。
ステージの演奏は、特にクラシックの場合だったら、練習を重ねて万全の態勢で本番に臨む。
スタジオの仕事はそうはいかない。
とにかくその場で弾けなければならないし、急に曲の調を替えさせられたりする。
それをスタジオプレーヤーたちは平然とやってのける。
その間の脳みそは、ものすごい勢いで回転する。
スタジオに行ったら否応なしに、それをしなければならないので疲れる。
よくアマチュアでちょっと上手に楽器を演奏する人が、自分はプロ並みみたいに勘違いしている人も多いけれど、現場に行ってお金を稼いでみると、途方もなく大変なことが良くわかる。
出来るものならやってごらんと言いたくなる。
1度で尻尾巻いて逃げだすから。
私も苦手ながら、スタジオに入ればもう逃げられない。
音を間違えないように、繰り返しを間違えないように、音程を正しく、ハラハラしながら仕事をする。
毎日これを職業にしている人達がいて、まあ、馴れてしまえばさほどの事はないのかもしれないけれど、時々行って仕事させてもらう私の様な立場だと、本当に緊張する。
学生時代からスタジオの仕事をしていたけれど、人には向き不向きがあって、私はどうしても緊張し過ぎてしまう。
それは毎日やっている人達も、本番は同じ気分だとは思うけれど、これを毎日続けていけるのはすごい!
とは言え、私も随分沢山稼がせていただいたけれど。
24時間テレビは幸いなことに、メンバーが親しいひとばかりで、さほど緊張もせず楽しい事の方が多い。
今年はDAIGO君がマラソンランナーだときく。
一見優男風だからちょっと心配してしまうけれど、結婚間近の恋人がいるそうだ。
そういう時、人はすごいパワーがでるからやってのけそうな。
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