2015年11月15日日曜日

江戸川フィルハーモニーオーケストラ

第30回定期演奏会だそうで取り組んだのは、マーラー「交響曲第5番」
こんな大曲に挑むのは、長い歴史がないとおそらく不可能だと思うので、やはり30回という回数があってこそ。
オーケストラなどと言う労力とお金をムダに使う前世紀の遺物は、地域の協力無しには、なりたたない。
団員たちの汗と涙が、偲ばれる。

弦楽器、特にヴィオラ、チェロはすごく良かった。
冒頭のトランペットのソロは、本当に怖いと思うのに、我慢して我慢してなんとか吹き遂せた。拍手!
全体にフォルティッシモがバランスが悪く、せっかくのマーラーの響きを殺している。
気持ちが高揚して思い切り音を出したいのは分かるけれど、その一歩手前で収めないといけない。
ただひたすらどんちゃん騒ぎになってしまうのは、戴けなかった。
もう少し計算された冷静さが欲しかった。

そこが残念だったけれど、この恐ろしく難しい曲を良く演奏したのには、ほとほと感心した。

最初の曲はモーツァルト「クラリネット協奏曲」K.622
ソリストは野田祐介氏(群馬交響楽団第一クラリネット奏者)
美しい柔らかい音は、ともするとオーケストラに同化してしまって、協奏曲という性格が弱かったような気がするけれど、それはそれで、素晴らしかった。
特に2楽章のピアニッシモは絶妙だったのに、あ~あ。
目をつぶって耳を澄ませていたら、突然頭の上から声がした。
「すみません、入れて下さい」
全曲を通じて一番美しい・・・死ぬほど美しいこの箇所で、よりによって遅れてきた人が演奏中にもかかわらず、通路を歩いて席に着こうとしている。
殺意を覚えた。
誰が演奏中に入って良いと言ったのか、全部まとめて川に放り込んでやるう~~~。
台無しになった気分を救ったのは、活き活きと張りのある音がし始めた3楽章のクラリネットソロ。
どんどん興に乗ってきて、そうそうこうこなくっちゃ。
上手い!

荒川区は私の家から遠い。
なんでそんな遠くまで行ったかというと、私の所にレッスンを受けに通ってくる女性がここのメンバーだから。
初めて彼女のヴァイオリンの音を聴いた時、ヴァイオリンは金属で出来ていたっけ?と言うのが感想だった。
かなり自宅も遠いようで、そんなに長くは続かないと思っていたけれど、もう何年になるだろうか、せっせとレッスンを受けに来る。
初めは手こずった。
とにかくあらゆるムダな事をする。
手の形は不自然、第一、身体の向きがおかしい。
一つ一つ丁寧に直すと、今までいかにムダな事をしてきたかを、納得してくれた。

最近金属は陰を潜め、立派に木の音がし始めた。
そして先週おや?頭一つ抜きんでて来たなと思った。
違う領域に達したようだ。
こういうことが教える者の醍醐味。
その熱心さにほだされたら、やはり遠い所でも聞きに行く気になるでしょう。






















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