2015年11月8日日曜日

「エニグマ」を謎解き

12月の事だからと呑気にしていると、いつも間際になって慌てるから、今年は早々とエルガー「エニグマ(謎)変奏曲」の譜読みと謎解きをしている。
やっと今日、全容を解明し終った。
この曲は12月15日、ロンドンアンサンブルの小田原公演に参加、その時のプログラムなのだ。

私が出演するのは小田原公演一回だけだから、この日失敗すると2度とやり直しはきかないと思うので、ちゃんと弾きたい。
エルガーの曲というのは、ターナーの絵みたいに複雑で靄っている。
隅々まで内容を知らないと、指揮者がいないから1度落ちたら、這い上がれない。
誰が何をしているか把握しておかないといけない。
しかもオーケストラの曲を室内楽用にアレンジしてあるので、スコアを見ても、自分が本来の譜面と違うことをやっているのに気がつく。

その上・・・私はこの曲を弾くのは初めて。
オーケストラ生活長かったけれど、イギリスの音楽は日本ではあまり頻繁に演奏されない。
すごく良い曲なのに。
身体に余る大きな楽器のヴィオラを長時間弾くのは、相当負担がかかるけれど、私はヴィオラの音が大好きで、本当にリラックス出来る。
ヴァイオリンの甲高い音より、自分の声に近いからかもしれない。
早いパッセージが連続するところは、スピードに乗って爽快感がある。
リズムも面白い。
何処で何がどう動くのか知っておかないといけないから、スコアを首っ引きで調べ上げ、なんとかお終いまで納得がいった。
こういう事がとても面白い。

室内楽を弾く時、普段は、私はほとんどスコアは見ない。
下調べもしないけれど1度一緒に弾けば、殆どの曲は頭の中でスコアが出来上がる。
これだけは、もの忘れの天才であるにも関わらず忘れない。
これ猫世界のにゃにゃ不思議。

冗談はさておいて、今回はかなり手こずった。
激しくテンポが変わるので、いつの間にか倍テンポになっていたり、転調も多いから弾いていて変だなと思うと、調子記号を見落としていたり、けっこう悪戦苦闘だったけれど、曲が素晴らしいので、これが弾けるのはとても幸せだと思う。

やっとエルガーの譜読みを終えて、さて、プログラムの他の曲であるベートーヴェン、モーツァルトの曲に取掛かると・・・こちらの方がずっと難しいことに気がついた。
エルガーは練習すれば何とかなるけれど、モーツァルトは練習しても自分が本当に上手くないとダメだということを、思い知らされてしまう。
ああ、どうしよう、ちっとも上手くないのに、こんな仕事引き受けてしまって。
この後はひたすらモーツァルト。

それなのに11月半ばには、ベートーヴェン、モーツァルトを弾く事になっている。
これはヴァイオリンで。
ヴィオラばかり弾いている場合ではない。
参ったなあ、自分が言い出しっぺの曲なんだけど。

身の程知らずだけど、弾き終わると都合の良いことに、すぐに失敗もなにも忘れるという天性のもの忘れ名人だから、その性格が災いなのか幸せなのか、私が大成できない原因はここにある。



















0 件のコメント:

コメントを投稿