2015年11月30日月曜日

今日からヴィオラ奏者

明日、イギリスからロンドンアンサンブルのピアニストの美智子さんと、フルート奏者のリチャードが来日する予定。
ヴァイオリンのタマーシュ、ヴィオラのジェニファ、チェロのトーマスは少し遅れて到着。

地方での公演が終ると、13日東京文化会館、14日横浜美術館レクチャーホールでのコンサートがある。
タマーシュとジェニファはそこまでで、次のコンサートのために帰国、トーマスと他の2人は残って、小田原では同じプログラムで演奏する。
帰国した2人の後は、ヴァイオリンの志帆さんと私が加わる。
3日に少し楽譜をあたっておこうと、小田原公演の出演者が集まって練習することになった。
小田原で私はヴィオラを弾く。
昨日までヴァイオリンを弾いていたから、ヴィオラを取り出して鳴らすと、音が出ない。
楽器が大きいから鳴るようにするのに時間がかかる。
なんたって私は人間の中では超小型なのだから、それはもう大変なのだ。
ピアティゴルスキーがチェロを首に挟んだ話しは先日の投稿でしたけれど、私がヴィオラを挟むと、ちょうどそのくらいの感じになる。

1時間くらいすると、やっとヴィオラらしく鳴ってきた。
私はヴィオラが好きで、ヴィオラの音はよく他人から褒められる。
音は素晴らしい、でも・・・
この「でも」さえなければ。
シェーンベルク「浄められた夜」のソロヴィオラを弾いたときには、一緒に弾いたミュンヘンフィルのコンマスから毎回練習の度に言われた。
貴女の音はベリービューティフル!、しかし遅れる。

音の立ち上がりが遅れてしまうのを注意されて、発音を随分練習した。
そういう練習が私たち弦楽器にはとても大切なことで、音と音程を作るところから始めるので、弦楽器はものになるのに時間がかかる。
小さい頃から長く辛い練習をしなければならないのはそのためで、その前に辛抱できずにやめてしまう人も多いけれど、本当はそこが最も魅力的なのだ。
弦楽器はどんなに頭が良くても、向かない人はどうしても上手くならないという不思議な楽器で、他の楽器が素晴らしく上手いのに、ヴァイオリンはダメという人もいる。
全くとりとめのない所が難しいのかも。
音程も運弓も自由すぎるのが、ワケが分からないのかもしれない。
だからといって他の楽器に比べて特に難しいとかではなく、演奏者を選ぶワガママな楽器なのかとも思う。
ヴァイオリンに選ばれた人々は、何の苦もなく弾く。

タマーシュがその1人で、易々と楽器を操る姿を見ると、ハンガリーの血がそうさせるのではないかと思う。
勿論練習は血のにじむほどしないとそうはならないにしても、いくら練習してもダメな人は、ヴァイオリンに拒否されていると思わないといけない。
そこが辛いところ。
私はある日はヴァイオリンに好かれていると思うのに、次の日は嫌われて居ることも多い。

にわかヴィオラ奏者がどこまでヴィオラの音が出せるか、そこが今回の一番の課題になる。
初めて演奏する「エニグマ」がすごく楽しみであり、多少不安でもある。














0 件のコメント:

コメントを投稿