2015年11月29日日曜日

関東学院大学オーケストラ定期演奏会

第11回めの定期演奏会。

 シベリウス      交響詩「フィンランディア」
 チャイコフスキー  「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調」
 シベリウス      「交響曲第2番 ニ長調」

              ヴァイオリン 碓井志帆
              指揮     安東裕躬

最初の頃は心許なかったこのオーケストラも、立派に成長した。
はじめは人数も少なく、オーケストラとして成り立つのかと思ったけれど、数年前にはブラームスのシンフォニーが演奏出来るくらい、目を見張るような発展ぶり。
先生方のすぐれた指導力もさることながら、学生たちの努力が実を結んだと言える。
大学に入って、初めて弦楽器を持ったという人もいる。
そんなひと達をここまで弾かせてしまうのは、やはりオーケストラの魅力というか魔力のせいだと思う。

1人では絶対に出せない音の厚みと色彩が、オーケストラの魅力なのだ。
音の洪水に呑みこまれた瞬間の喜びは、なにものにも代えがたい。
たまに、私もオーケストラ時代に、今この場で死んでも良いと思う程の感激を味わうことがあった。
1度その音を知ってしまうと、このあといつ味わうことが出来るかもわからないのに、その音に遭遇することが目的となって辛い練習にも耐えられた。
音は不思議なもの。
人のハートをギュッと捕らえて放さない。

私は毎年、演奏会のお手伝いをさせてもらっていたので、顔なじみのメンバーも沢山いる。
わざわざ地方から演奏会のためにはせ参じる卒業生たち。
就職しても、オーケストラをやっていた頃の思い出は、彼らの心の支えとなっているのかもしれない。

今年はシベリウスの交響曲がメインだけれど、若者の心に響くこの曲が彼らになんと合っていることか。
情熱、悩み、憂鬱、歓喜、すべての要素が若さの象徴の様に思える。
オーケストラを体験できたことは、彼らのその後の人生を豊に彩ってくれると思う。

今回の協奏曲のソリスト碓井さんは、12月のロンドンアンサンブル小田原公演のヴァイオリン奏者。
ヴァイオリンのタマーシュの帰国後、同じプログラムで演奏する。
彼女はロンドン留学後、帰国して結婚して出産してと、大忙しの中で演奏を続けている。
いまや2児の母親として頑張っている。
以前は育ちの良いお嬢様という感じだった彼女も、母親の強さを身につけてきた。
堂々とした演奏ぶりは、芯の強さを感じさせられた。
見事なソロを聴かせてもらえて、こちらも緊張しながらも伴奏を楽しんだ。

チャイコフスキーが終って、まだシンフォニーが残っているのに、すでに泣いている学生がいた。
今年卒業してしまうのだろうか。
オーケストラと青春とに別れを告げて、社会に旅立っていく彼らの前途に幸せが沢山ありますように。




















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