毎日あまりの暑さに呆然とする日々、家の前の桜並木のある川沿いの土手が工事中。
朝からコンクリート壁を壊す音、ミキサー車が生コンクリートを流す音、ショベルカーが瓦礫をダンプカーに積み込む音等でやかましい。35度くらいの炎天下でヘルメットを被り工事用の分厚い靴を履いている作業員は大丈夫なのだろうか。命に関わるほどの暑さなのに。
ほとんど家から出ない生活が続く。私が玄関を出ると作業員のおっさんが話したげにこちらを見る。車も殆ど通らないのに何時間も立ったまま警備をするのは本当に辛いだろうと思うけれど、私も話し好きのおじさんに捕まって炎天下に止め置かれるのは御免被りたい。目をそらしてツツツと横歩きしたりして避ける。わたしゃ忍者か?
めったに家からも出ず、アンサンブルを望んでもお互いに出歩きたくないので、約束をしたくない。結果誰とも殆ど会えない日が続く。それなのに、朝目が覚めたときに気分がいまいちだと”すわ、コロナに感染!”しかし、時間が経つと、特に朝食を食べると気分は普通になる。軽い熱中症かもしれない。記憶力はどんどん悪くなって、最近では有名な演奏家や作曲者の名前が出なくなった。ましてや、新しい演奏家は殆ど名前が覚えられないときた。このまま痴呆街道まっしぐらかい?痴呆ならぬ地方街道まっしぐらで、来週は涼しい北軽井沢で暮らそうと思っている。あちらはともすると涼しすぎることはあっても暑いということはなかったのに、今年の昼間はやや暑かった。そろそろ涼しくなっていることと思う。それと人が居ない。9月の声を聞くと森の中にいるのは動物のほうが多い。
一番暑いときに森に行かなかったのはなにかと用事があったから。ハリー・ポッターの最終7巻にいよいよ突入する。そのレッスンが今月末。単語や言い回しの難しさも増したけれど、文字のサイズがどんどん小さくなっている。だから同じページ数でも中身は増えているのだ。もはや中学生でも読めるレベルを遥かに超えて大人の読み物になっている。目が悪くなって記憶力も衰退しているのに、難しさは増すばかり。最後まで読み終わったら感激でうるうるになるかも。でも途中で諦めかけていたのに、最終巻にたどり着けてよかった。
AmazonTVにはまって、英語のノートを広げながら見ているうちに英語はどこかへいってしまう。これはいかん。北軽井沢の誰もいない暗い長い夜がこういうときに役に立つ。テレビもつかないし、話し相手は猫一匹。Amazonも、もちろん邪魔をしない。なにもやることがない。時々小動物がシャッターにぶつかってドンと音を立てるのにも慣れた。初めてのときには人がいるのかと思って恐怖したものだったけれど。
楽器を置いておく部屋に除湿機を入れたけれど、今年は暑かったからエアコンにすればよかったと後悔している。電気屋さんに相談してみよう。音を出すのでどうしても窓は閉めるから、いくら北軽井沢といえども暑い。電気屋さんは楽器を置くだけだからとエアコンの必要はないという。費用も安く済むから一旦は納得したけれど、この先異常気象が続かないとも限らないからエアコンを入れるうちが増えているという。ずっと以前軽井沢に仕事で行ったら何処にもエアコンはなかった。それから考えると本当に気候が変動しているなと思う。
湿気がひどいので森の中にはピアノは置けない。完全に空調が効いて居なければ楽器が気の毒なので電子ピアノを置くことにする。先日行ったときに不用品は片付けて、スペースを作っておいた。ノンちゃんの趣味らしく小人さんが腰掛けるような木製の小さな椅子が3脚。雰囲気はいいけれど、実用的ではないから撤去。友人が持って帰ってその日の夜、彼女の猫さんたちがその椅子に座った写真が送られてきた。私のお気に入りのポジションだった窓際のソファ。ここに横になって外の木々を飽きることなく眺めていたものだった。そのソファもピノを置くとじゃまになる。どうしようかと考慮中。ノンちゃんの趣味の良さは家具にまで行き届いていた。私が実用一点張りにすることは彼女には不本意だとは思うけれど、ごめんね、こうしないと家が狭くなるばかりで・・・
家に根が生えたように居座っていても若い時なら様々なことを考えた。それが今ではノンビリと寛いでなにも考えないでヘラヘラしていられる。もう年だし、少しくらいなまけてもいいでしょうか。