2020年8月3日月曜日

歪み

「歪」はひずみと読むかゆがみと読むかで理系か文系かわかるそうで、漢字はややこしい。
私は体はゆがんでいて心はひずんでいる・・・またはひずんでいてゆがんでいる。
どちらも曲がっていることには変わりない。
今年始め、スキーのレッスンを受けた時、どうにもバランスが取れなくて苦労した。

一昨年と去年はよくころんだ。
何回も何回も、最後には階段から真っ逆さま、顔から地面に衝突した。
鼻の下と顎にかすり傷をおった。
なんでもない信号待ちでも突然グラっと転んだり・・ただ立っていただけなのに。
肋骨はずっとヒビが入りっぱなしで咳をするのも辛い。
それでもフランスのヴァルトランスに行ってトロワバレーで長時間滑り、流石に怪我の心配があるので途中でやめておいた。
行っておいてよかった。
この先何年も外国に行けないかもしれないし。
その後様々な心の葛藤から解き放されて、人生も捨てたもんじゃないという気分になった。
本来の自分に戻れたのだ。
その2年間で体の歪みが極端に進んだようだ。

スキーのレッスンは毎年受けているけれど、今年は特に辛いことになった。
足の裏の重心が左右で全く異なってしまうから、安定感とカーブの切れが全く違ってしまう。
先生の言う通りしようと思っても、どうにも安定しない。
右足に乗るのは非常に努力しないといけない。
左に乗るのは全く苦労なし。
右足は1年ほど前からひどいしびれと足首の痛みに悩まされた。
レッスンを午前中で脱落して休んでも、夜中にしびれがひどくて眠れなかったほど。
これはだめだと自主的に中止して、温泉に入って、まあ、いつものパターンだけれど。

なんとかしないといけないと思って整形外科に行ってレントゲン撮影をしても、軟骨のすり減りが多少あるけれど年相応と言われる。
特に怪我や変形も見られない。
ほんとかな?
内科でもらったビタミン剤で少し症状は軽くなったものの、完治しない。
友人と電話で話していた時、その人がお風呂でやっているストレッチで片足立ちがとても長くできるようになったと聞いた。
お湯に浸かっている間、足指と手指を組み合わせて足首を強制的に回すと言うからやってみた。
温かくなった足首はいつもよりかんたんに回る。
痛みも少ないからノンビリと回していたら2週間ほどで効果が顕れた。

それで、少しずつ改善されてきた右足の故障。
昨日鏡の前で自分の体のバランスを見た。
最小限の下着だけで鏡の中の自分をチェック。
あらまあ、歪んでいること!
まず体の中心線が見事に右斜めなのだ。
右足が明らかに短い。
だから肩が右下がりで、左足で片足立ちは簡単にできるのに右足では数秒もたない。

左足の片足立ちはまっすぐに直立できる。
それに引き換え、右足立ちはものすごく右に傾斜しないと全く立てないことがわかった。
しかも足裏の内側で立つのは全く不可能なのだ。
だからスキーでカーブするときも右回りはとてもスムーズに行くのに、左回りはよほど体を傾けないと板に乗れない。
両足の内側に重心をと言われても、右足首はそんなことをしたら痛くてたまらないし、ほとんど不可能なことがわかった。
しかし、先生は左右全く違うことをすれば怒るに違いない。
体を故意に傾けるとか不自然な動きは極力してはならないと。

ヴァイオリンを教える時に私も生徒に言うことは、最小限の動きで最大の効果を出せるように、無駄な動きはしてはならないと。
なんでも技術に共通することだけれど、人体はそれぞれの問題を持っている。
長年生きてきたので、職業的に(例えばこの私)体の歪みが出てくることがある。

以前ヨガをはじめたときに、体のバランスが悪いのでまっすぐに矯正しようということになった。
若いときだったからすぐに体は矯正されたけれど、ヴァイオリンを弾こうとすると楽器が逃げる。
普通に構えると、するりと肩から滑り落ちて顎に挟めなくなって慌てたことがあった。
やはり楽器によって体が適応する部分があって、そこを直してしまうと弾けなくなることがわかって、慌ててもとに戻した。
特にヴァイオリンは左右の手の動きが全く違う。
右手は横に左手は縦に動かすことを、子供の頃からやっているわけだから。
これで体が真っ直ぐでいられるわけがない。

そう考えると私はこの左右のバランスの悪さで今後もスキーを滑ることになる。
さてどうしたものか。
今まであまり転ぶこともなく、怪我もしたことがない。
スピードも出るけれど、先生から見ると危なく見えるので叱られる。
今後も自分のバランスで滑るしか無いので仕方がない。

私もいつも自分の考えで生徒たちを外側から見て、形を矯正してきた。
けれど、内部のことは外からはわからない。
指の長さや体のバランスの違いは本人でないとわからないことも多い。
ある時あまりの私のしつこさに泣かされた生徒がいた。
「私だってすごく努力をしているんです」と言って。
その人は左手の小指の付け根が極端に下がっているので、他の指より伸ばさないと音程が低くなってしまう。
「もう少しだから伸ばす努力して!」と言ったらワッと泣き出してしまった。
今でもかわいそうなことをしたと思っている。
アマチュアで楽しみに弾いていたのに、優秀だったから私も欲が出てしまったのがいけなかった。

生徒さんには申し訳ないけれど、他人に教えるのは自分のためでもある。
ひとのふり見て我が身をなおす。
ひそかに勉強させてもらっているのですよ。




























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