2011年11月4日金曜日

月例弾く会

あっという間に一ヶ月は経ってしまう。「弾く会」も初めは気楽に参加していたけれど、これが中々のくせもの。一曲終わってほっとすると、あっという間に次の会がきてしまう。追いまくられているようだ。そしてピアニストと言う人種は超真面目なので、必ずと言っていいほど毎月大曲を新しく出してくる。弦楽器のFUMIKOさんと私はなんだかいつまでもヘンデルのパッサカリア。今日はFUMIKOさんはシューベルトの「アルペジオーネソナタ」私はベートーヴェン「ロマンス」とバッハ「G線上のアリア」。でも来月は「パッサカリア」を弾く本番があるので、次回も練習代わりに例会で弾くことにする。譜読みはできているのであとは練り上げていくばかりだが、奥が深くてスケールの大きなこの曲はいつまでたっても様にならない。作曲家の器の大きさをひしひしと感じる。ピアニストに言わせれば「ヴァイオリンは音がピアノに比べて少ないから譜読みが楽よね」とくる。いえいえ、とんでもない。まずあのつるっとした指板のことを思い出してほしい。あの指板の上のある一点を違えずに押さえるのがどれだけ大変なことか。譬えれば、なんの目印もない原っぱでゴルフの名人がどの地点でも必ず同じポイントに球を落とせるとは限らない。左右にぶれたり、距離が違ったりするでしょう。ヴァイオリンはそれの縮小版、短くなった分誤差はもっとひどい。ほんの0コンマ何ミリの差で音程は変わってしまう。指一本が半音違う。指を寝かせて押さえるか、立たせて押さえるかで、音程も音質もガラッと変わる。そして指板の高音域のほうは、なぜかどんどん音域の差が狭くなってきて、ひどい時は指をいちいちずらしながら押さえなくてはいけなくなる。ピアノのように音が決まっていて、そこを叩けば猫でも犬でも同じ音程が出る楽器とはわけが違う。毎日毎日音程との戦いで終始する。もっと厄介なのは右手のボウイング。弓の遣い方によってどれほど音質の差が出ることか。毎日弾いていても音がガサガサの時もあるし、めったにないけれどやたらに調子のいい時もある。訓練である程度の水準は確保していても、調子が悪いと音そのものがちゃんとでない。ピアノは音はとりあえず出るし、音程も決まっている楽器だから、弦楽器はその前段階で苦労しなくてはならない、とても損な楽器なのだ。時々子供にヴァイオリンを習わせにくる親御さんに泣かれる。「こんなに大変だとは思っていませんでした」と。ピアノの悪口を言っているのではありません。なぜなら私は途中までヴァイオリンにするかピアノにするか迷ったくらいピアノが好きだったから。ピアノにはピアノの苦労がある。だからほかの楽器が自分の楽器よりも易しいなんて、露ほども思わない。それぞれ大変なんだから。

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