2012年12月12日水曜日

弓の重さ

多摩川沿いに車を走らせていると、きれいな富士山が見えた。このところ好天続きで冷たい風が心地よい。私は暑いのが嫌いで、スキーをするせいか冬が大好き。久しぶりに荻窪方面のピアニストのSさんの家に行く。府中のケアハウスでの演奏のためのリハーサル。モーツァルトの「ケーゲルシュタット」ベートーヴェン「ロマンス」モーツァルト「シンフォニーコンチェルタンテ」等々。ヴィオリストのFUMIKOさんのお誘いで始まったこのコンサートも定例になりつつある。寝たきりや半分眠っているような人もいる中で、ニコニコと楽しそうに聴いてくれるひとを見ると、こちらも嬉しくなる。いずれ自分もそうなるだろうと思うと、人が来て音楽を聞かせてくれたら、どんなにうれしいかと思うとやめられない。人間の最後まで残る感覚は聴覚だと言うことをよく聞く。私たちの演奏を毎回とても喜んでもらえる(らしい)ので、それと二人の気持ち良い仲間といっしょに演奏できる喜びと合わせて、自分が演奏できなくなるまでは、この訪問は続けたいと思っている。今ロンドンアンサンブル小田原公演のための練習で数日ヴィオラを弾いていたので、ひさしぶりに持ったヴァイオリンの弓の軽さにとまどっている。弓の重さが違うので微妙なバランスが中々とれない。若いころには一つの演奏会でヴァイオリン、ヴィオラを使い分けて弾くことは難なくできた。今となってはそのわずかな重さの違いに対応できるようになるのに時間がかかるようになった。面白いことにはヴァイオリンからヴィオラに移行するのは比較的簡単だが、ヴィオラを弾いた後でヴァイオリンを弾くのが難しい。ヴィオラを弾くときには腕の重みをどっしりと弓にかける。そしてヴァイオリンに移ろうとすると、つい、重みをかけすぎてしまう。いかに力加減を調節することが難しいか、思い知らされる。反対にヴィオラを響かせるのは相当な力がいる。ただでさえ小柄な私が大きなヴィオラを顎にはさんで、奮闘する姿は見ものですぞ。ご覧になりたい方はどうぞ、小田原まで来てください。一見の価値あり。

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