2012年12月9日日曜日

閑散

ロンドンアンサンブルの人たちの練習は我が家で3日間行われ、その間、彼らの送り迎えや食事の世話、あげくに恋人に電話するための携帯のプリペイドカードの入手など、大忙し。私は去年一日だけ一緒に弾いただけのことなのに、いつの間にかどうしてお世話をする羽目になってしまったのかよくわからないが、これが美智子さんの力なのだ。周りの人たちにお願いする風でもなく、電話で延々としゃべっているうちに色々なことを承知させられてしまう。昨日長崎に向けて出発する彼らを羽田まで送って、そのあと、疲れ果てて昼寝はおろか、夜もぐっすり寝てしまった。今回我が家の近くのマンションのゲストルームを彼らのために提供してくれた信子さんと「どうして私たちがこんなにお世話することになってしまったのでしょうね」と言って笑いあった。でも、ロンドンに行った時には美智子・リチャード夫妻には10日間大変お世話になったので、ほんの少しの恩返し。彼らは私たちが彼らの家に泊まっている間、ピアノの練習もパソコンでの編曲作業も不自由したのだから。巨体がゴロゴロいた一昨日までと打って変わった、ひっそりとしている部屋で久しぶりに自分の練習ができた。これから小田原の公演に向けてヴィオラを練習する間にも、時々ヴァイオリンのご用もあって体が混乱している。去年よりはヴィオラも良く鳴るのは弦の選定を変えたからで、去年の今頃痛みと左足のしびれに泣かされた股関節の故障も治った。コンディションはまあまあだけど、リチャードの編曲のヴィオラパートが去年より格段に難しくなったので、譜面と格闘している。今すっかり静まり返ったレッスン室は早く練習しなさいとせっついてくるけれど、ゾウさんのような巨体とにぎやかな笑い、鳴り響く音のなくなった後は寂しく気が抜けてしまった。大勢いた子供たちが家を出て行って残されてしまった親のような気分。いればうるさいけれど、いなければさびしい。ガクタイ(と私たちは言う)は言葉が違っても楽器さえ持てば全く違和感がない。単純で朗らかで美味しい物が好きで、もちろんきれいな異性が好きで、こよなく音楽を愛する共通項を持っているから。

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