2013年12月16日月曜日

オケ仲間

一時代前のオーケストラを今に繋ぐために頑張ってきた仲間達7人が、新宿のビアレストランに集合。
この仲間達と、古き良き時代とまでは言わないけれど、今のオケマンたちのようにサラリーマン化していなくて、薄給で遅配で恐ろしく忙しい今で言うブラック企業を楽しく盛り上げてきた。
世間的に見るとひどく苦労しているように見えたかも知れないが、何れ劣らぬ脳天気揃いだったから毎日笑いに包まれていた。
なにが面白いったって、ただただ、そこに居る人達を見ているだけで面白い。
今日も話題に上った故中木十郎さんはハンサムでダンディーでヒゲを生やし、前立てに刺繍のある真っ白な皮のコートにウエスタンブーツ、そしてなぜかトランペットを新聞紙で包んで小脇に抱え、さっそうと歩いてきた。
なぜ新聞紙?ときいたらケースが重いからと答えた。
それがすごく様になっていて、彼がするとそんなことまですべてが格好が良い。
クラリネットの故北爪さんは普段はハンサムですごく温厚な紳士なのに、一旦車のハンドルを握ると豹変する。
おそろしいスピード狂で年中警察に捕まっているのに、懲りもせず飛ばしまくっていた。
しかも運転している間は様々な罵詈雑言を周りの車に浴びせ、あきれて見ているとそれに気が付いて照れくさそうにエヘヘと首をすくめていた。
皆は親しみと尊敬を込めてズメ先生と呼んでいた。
芸大のえらい先生なのに少しも尊大な所がなく、新人のパーカッショニストがうまく行かず落ち込んでいると「今日、俺どっかうまくできたとこあるかなあ?」などととぼけて見せて、それとなく慰めてくれたそうだ。
故チンネンさんはやんごとなきお家柄なのに、初めてお目にかかった時には、キャラメルの紙一枚でお尻を拭く方法を伝授されて、度肝を抜かれた。
当時は(今も?)皆自分では言わないけれど吃驚するような家柄の良い人たちがいたので、人目も気にせずどんなことにも拘らないようなところがあった。
彼のお父様などは、帝国ホテルの調度品でも気に入ると自宅に持ち帰らせて、あとで執事がお支払いに行ったとか。
そんな人達と庶民である我々が全く対等に居られるのが音楽の世界で、一般社会の通念だったら信じられないようなお付き合いをしていた。
今はサムライ達は故人となって全体に常識的なメンバーとなってしまったが、私たちの先輩の頃にはあきれかえるようなエピソードが山のようにある。
私もしょっちゅう悪戯をしていたけれど、それを面白がったおじさん達にはずいぶん可愛がられたものだった。
今日一緒に居た仲間のうち最長老のSさんは記憶力も並外れていて、面白い話を次から次に出してくる。
皆でそれを本にしたらどうかと勧めているいるので、ご本人がその気になってくれたらお手伝いしたいと思っている。




























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