2015年5月5日火曜日

カヤレイ氏によるマスタークラス

スイスのカヤレイヴァイオリンアカデミーの日本支部は、音楽教室「ルフォスタ」のヴァイオリン講師細野京子さんが支部長として、毎年5月に講習会を行っている。

細野さんはスイスでカヤレイ先生に師事、その優れた教授法を日本にも広めたいというので奮闘。
最初は生徒が集まるかしらと不安そうにしていたけれど、最近は優秀な生徒がこの講習を受けるようになって、しっかりと根付いてきたようだ。

毎年聴きに行くけれど、まあ、日本の音大生達の上手いこと!
すごく達者に弾く。
けれど、何かが足りない。
すごく良く練習をして指も回る、弓さばきもきれい。
それでもいつも思うのは、自分の意志があるのかしら?
ここをこう弾きたいという意志が感じられない。
優等生であるほど、先生のおっしゃるとおり。
先生の言うとおり弾ければ点数も上がる。
それで学校卒業して先生がいなくなると、いつまでも学生時代の弾き方をするしかない。
むしろ学生時代少しはみ出ていた人の方が、社会に出てから役に立つ。
これはどの社会でも同じ。

カヤレイ先生はそんな講習生達に、熱意をもって当たる。
みるみる内に弾き方が変わって、血が通い脈が戻るような音楽になるのが素晴らしい。

私の教え方はどちらかというと冷たい。
レッスンの間に言うべきことは言うけど、それを実行するのは貴方しだいよ、とつっぱねる。
しかし、カヤレイ先生はとことん生徒が変わるまでネバリ強く、何回でも繰り返し弾かせる。
良い先生というのはこうあるべきかと思う。

今日は3人の受講生が来て何れ劣らず優秀ではあったけれど、それでも先生がお手本で演奏するとその違いに愕然とする。
音の本質が違うようだ。
最後に弾いた女性は素晴らしく、自分の世界をしっかり持っていて、先生もご満悦だった。
内面から求める音が技術を超えて、弓をどう使うなどというレベルではなく、しっかりと自分の求める音が分かっている、そんな感じだった。

教師は外側からサポートするだけで、本当のところは生徒自身の要求がないとどう説明しても、良い音は出ない。
それでも四苦八苦してわかる様に説明したり弾いて聴かせたり。
何事もそうだけど、求める気持ちが大事。
だから良い演奏を沢山聴いて、自分の中に理想の音を持たないといけない。
それもCDなどでなく、生音を聴くのが大切になる。
会場に響く音は録音の音とは別物だから。

毎年カヤレイ先生の講習会を聴かせてもらっているけれど、反省を籠めて我が身を振り返っている。
















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