「夜中のバラ」「眠る盃」
急に浮かんだエッセイの題名、作者は何という名前でしたっけ?
たしか「い」で始まる名前。
伊集院、伊藤、石野・・・なんだっけ。
調べたら「い」ではなくて「む」だった。
向田邦子さん。
あれほど好きであんなに読んだのに、どうしても名前が出ない。
夜中のバラとは ♪童はみーたーりー夜中のばーらー♪
本当は「野中」のバラ。
眠る盃は ♪春高楼の花の宴ー眠るる盃ー♪
本当は「めぐる」盃。
子供のころに意味もなく間違えて覚えてしまうことはよくある。
向田さんもエッセイで書いているのがこれ。
彼女には妹さんがいて札ノ辻か辻の札かわからなくなるので、何回も言わせて追いつめて泣かせたらしい。
そう、姉妹はこういういじめをするものなのだ。
私は姉たちのおもちゃだったから、よくやられた。
初めての姪は、私にとって初めての年下の家族だった。
私は反応するからぬいぐるみより面白いと言っておもちゃにした。
家族中が彼女を溺愛して、私は夏休みになると姉の家から姪を拉致してきた。
ミルクを飲ませおしめを替えて、いっぱし子育てをしていた。
時々彼女の父親の義兄が取り返しにくるけれど、家族ぐるみで拒否。
姪も大勢の中でかわいがってもらえるから、自宅に帰りたくない。
しょんぼりと義兄は肩を落として帰っていくのだった。
今思えば悪いことしたなと思うけれど、姉はその間子育てから解放されるから、まったく気にもしない。
大好きな義兄と楽しく暮らせるから。
夏休みが終われば帰すし。
姪が3歳ころ、非常にませてはいたけれど、やはりそこは子供。
雷が鳴り始めた時私は姪に「雷様がおへそ取りに来るからね、取られないように隠すのよ」と言っておいた。
しばらく続く雷鳴。
そのうち姪がおなかを抑えて体を丸くして必死の形相になった。
そしてついに泣き出した。
びっくりしてどうしたのと訊くと「おへそとられちゃう~、うえーん」
あわてて「あれはうそだよ」と言う悪い叔母。
ガムを飲み込まないように「ガムを飲み込むと死んじゃうからね」
しばらくしたら泣き出す姪。
「ガム飲んじゃった~、しんじゃう」
悪い悪い、どうしてそんなにからかうのかねえ、悪い叔母さん。
私も姉たちからひどいいたずらをされていたのだ。
蛇嫌いの私に紐を振り回して「へびだ~」と追いかける。
チーズだよ食べてごらんと言われて石鹸を食べさせられて大泣き。
兄姉が多いと鍛えられます。
だから世の中に出ても、何を言われてもそれほど気にもしないでいられた。
大家族のメリット。
デメリットは、プライバシーが全くない。
勉強好きの兄は家族がうるさくて勉強できないと怒る。
下手なヴァイオリンとピアノ、テレビ、私が大声で歌う、姪が泣き叫ぶ、家は防音もなにもない古い木造家屋。
私は全く勉強しないから、ずっと加害者だった。
家族が多いと、例えばケーキの切り分けなんかは皆上手で、切り手の手元をたくさんの瞳が息をつめてみている。
一番大きいのは私が、あとは早い者勝ち。
家族の中の立ち位置はいつもそんなだった。
それで私は殆ど競争はしたことがない。
徒競走ではちょうど中間あたりをだらだら走る。
一着なんてなるわけがないと、最初からあきらめている。
周りを見ると歯を食いしばって顔を赤くして走っている。
あら、みっともない、あんな顔してばかみたい。
可愛くない子供だったなあと今頃思う。
長じてもだらだら、もう少し頑張れなかったものかと自分に問うと、んなことできるわけないでしょう。
そうだね、私がもう少し頑張っても大して変わりはないから。
聞いた話によると、筋肉は可動範囲を超えて動かすとこわれてしまう。
人は脳の指令で、可動リミットの手前で筋肉をとめるのだそうで、その抑制がとれてしまうのが火事場の馬鹿力だという。
だから日ごろから筋肉を動かさないと、脳は可動範囲を低く認識してしまい、結果筋肉はその手前でかたまってしまうのだそうだ。
頑張らないでいるので脳が私の可動域を狭く認識しているのだろうと、最近思う。
コロナボケなのに食欲は正常、運動しないでゴロゴロ。
散歩すればすぐに疲れる。
2キロほど太ってしまった。
足首をねんざしてから、ずっと大事に動かさないようにしていたら、動かすと結構な痛みが走る様になった。
それでなおさら動かさないー痛みがひどくなるー動かさないーとやっていたら階段が下りられなくなった。
友人が片足立ちができなくなった時、お風呂の中で無理やり足首を回していたら、今は数分片足立ちができるのよと言うので真似してみた。
温めると足首は良く回る。
繰り返していたら、最近痛みが少なくなってきた。
片足立ちがほんの少し、長くできるようになった。
スキーの来シーズンのために体重も減らさないといけないのが憂鬱。
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