2012年6月9日土曜日

梅雨入り

今年は爽やかな初夏の気候が少なくて、しかも急激な気温の変化の繰り返しが多かった。昨日は夏日、今日は4月の気温といったようにめまぐるしく変化する。その上、激しい雷、竜巻と言った天変地異に近い天候も多発した。さすが、辰年。龍が空を駆け巡っているようだ。そして大地震が起こる予想と富士山の噴火説まで飛び交っている。おおこわ。でも、人間の力ではいかんともしがたい。おびえていても仕方がないから、それらが起きてから考えよう。もしかしたら、起きた時に即死すればなんの心配もないから、それが一番苦労しないですむかもしれない。でも、できるだけ生きていたいものだと考えている。だらだらとはっきりしない天気模様が続いていたけれど、今日梅雨入り宣言が出された。弦楽器奏者にとって、最も嫌な季節となった。比較的若い楽器だとそこまでは影響されないと思うが、300歳くらいの古い楽器は非常に気難しい。私の楽器も280年くらい古いものだから、その日の気候でおそろしくコンディションが違う。日によっては本当に素晴らしい音がなんの苦労もなく出る。他の日には「なんやね、こらあ、人をおちょくっとるのか」と言いたくなるほど鼻詰まりになる。それをエアコンで騙し騙し、いかにもいいお天気のように感じさせているうちにやっと機嫌を直す。そうなればしめたものだけど、ドアが開いたり人が入ってきたりするだけで、湿気は容赦なく入り込んでくる。一度鳴り始めてしまっても、今度は調弦が狂う。弦はガット絃とナイロン弦が主で、ガット弦は音はいいが湿度に反応しすぎるために、非常に狂いやすい。私はガット弦が好きだから今まではずっとガットで通してきた。けれど、こんな季節には絶え間なく調弦をしていなければならない。以前仕事に行った先の会場が高いところに窓があって、そこから外気が吹き込んでくる造りだったことがある。そこに入った途端私は 即、ナイロン弦にすべて張り替えてしまった。外気の入るところで、しかもその日は雨だったから、そのままガット弦を使っていたら、5分おきに調弦をしていなければならない。それでもガット絃の音色は捨てがたい。今日は明日の本番でどちらを使うか悩んでいた。しばらくガット弦とナイロン弦を交換しては弾き比べ・・・でも、梅雨入り宣言を聞いたのでしばらくはナイロンに決まり。それで私のケースには2種類の絃と、万一必要な時に張り替えても本番ですぐ使えるように、使って伸ばした状態のガット絃が1セット常備されている。日頃の私を知っている人は、よもや私がこんなに用心深いとは夢にも思わないに違いない。それも長年仕事をしてきて苦労した賜物ですぞ。いや実は古い絃は、単に捨てるのを忘れていただけかも。

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