2012年6月18日月曜日

痛む手をなだめながら。

昨日の練習でヴィオラを長時間弾いたので左手に負担がかかり、夜になってから湿布とテーピングで痛む個所をサポート。今朝も湿布の上からテーピングをして出かけた。今日はワルシャワフィルの人と演奏するピアニストのための下稽古。ワルシャワの人たちが前日にしか合わせられないので、その前に練習にお付き合いすることになった。私は本番には出ないけれど、本番に出る人たちも交じっているから、遊びで弾くわけにはいかない。シューベルトの「鱒」は曲は素晴らしいが、楽器の編成のバランスが悪いので中々弾くのが難しい。編成はピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス。もう一人ヴァイオリンが入ればもっと弾きやすくなるのにと、いつも恨めしく思う。コントラバスが入ることによって、低弦が充実した分、ヴァイオリンはピアノと低弦の狭間でもがき苦しむことになってしまった。しかも続けさまのポジションの跳躍や小難しいパッセージがそこかしこに出てくる。腕に覚えのある人なら、よっしゃーっと言ってこれ見よがしに弾けると思うのだが、腕がどこにあるのかとんと覚えのない私には、ちと負担が重い。それでもこの華やかな曲を弾くのは無上の喜び。シューベルトさんに剣突を食わされても何回も弾きたくなる、名曲とはそういうもの。ジンジンする指は弾き始めると忘れてしまうのに、弾き終わると又痛む。若者に交じってオーケストラなど弾くものではないと反省。しかもヴィオラだったから構えているだけでも大変なのだ。長時間休みなしに弾くのは金輪際やめようと誓った。これで指を壊したら老後の人生どうやって過ごしたものか。今日お付き合いしたピアニストのSさんはもう70歳台の後半なのに、瑞々しい感性と少女のような純真さに満ちている。何よりも音が素晴らしい。指の痛さもしばし忘れてしまうほど楽しい練習となった。Sさんは頸椎を痛めてモルヒネが必要な位症状は重いらしいが、おくびにもださず音楽を紡いでいく。本当に音楽が好きでたまらないという思いに満ちて、こちらまで幸せになる。私もこんな音楽家になりたい。

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