2012年6月26日火曜日

運命は名曲中の名曲

今日も日大オーケストラの指導に出かけた。フィンランディア、カルメン、そして運命。聴衆が泣いて喜ぶプログラムだ。よく知られた曲を敬遠する人がいる。マニアックな隠れた曲が好きと言う人が。でもそれは私には理解できない。大衆が良く知っている曲はやはりどんなことをしても、どこをとっても素晴らしいから。名曲を揃えるといかにも通俗的に過ぎるとかなんとかいう人は、本当に音楽が好きなのではなくて、音楽の知識が好きな人と言える。かつて批評家で(あの)ハイフェッツの演奏を冷たいと言った人がいた。あまりにも機械的であると。良く聴いてごらん。いかに彼の音楽が情熱に満ちているかを。ほんの一瞬の移絃であれほどのパッションを表現できる人がいるだろうか。あまりにもテクニックがすごいので、そのへんを聞き取れないらしい。おかわいそうに。それと同じで名曲は大衆受けするから=通俗的。短絡的な考えですなあ。聴いたらわかるでしょう。さて、今日は運命の練習に入った。冒頭部分の運命が扉をたたくとかなんとかの部分はきっちり長さが決まっていて、これはらくちんなやりかただわいと感心した。指揮者がどうやったら合うのか考え抜いた末にたどり着いた結論らしい。芸術的云々と言うには問題があるかもしれないが、芸術的でばらけるより初めて楽器を持った人がいる中で揃えようと思ったら、これは実に理にかなっている。にぎり寿司を作るのに手では握れない人でも、マスの中にご飯を入れて固め、上からお刺身を載せればまあまあ、お寿司になるようなもの。一楽章はよくまとまってきた。楽しかったのであっという間に時間が過ぎてしまった。運命は名曲中の名曲だと改めて実感した。金太郎あめのようにどの部分を切っても名曲が顔を出す。生涯に弾ける曲数は限られているから、どうせ弾くなら名曲を弾かなければ損。名曲が古い物だけとは限らない。ポリー二がサントリーホールで連続演奏会をした時に、イタリアの現代作曲家の作品をヴァイオリンのアッカルドが弾いたのを聴いたことがある。全曲ピアニシモ、フラジオレット、スル・ポンチチェロの連続だったけれど、本当に素晴らしかった。聴衆が現代曲では珍しく興奮して、拍手がなりやまなかった。この曲は出来たばかりだからまだ人に知られていないが、そのうち世に知られるようになると思う。こんな難解な曲でも、易しい曲でも名曲は名曲。

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