2012年6月21日木曜日

ベルリン交響楽団とブーニン

日本女子大学付属中学校は読売ランドの駅から約10分。ずっと登り坂が続くので、息を切らせながらゼイゼイとたどり着く。今日はベルリン交響楽団とピアニストのスタ二スラフ・ブーニンのコンサート兼公開リハーサルということで、そこで教えているFUMIKOさんとその親友のTさんのお二人からお招きいただいた。席は2階の真正面、一番いい席で、もう一人ヴィオラの大先輩N氏もすぐ隣の席で鑑賞した。Nさんとは長いお付き合いで、一時期カルテットを組んでいた。しばらくお目にかからなかったのがまた最近カルテットで遊んでいただいていたのに、私のスケジュール変更がチェリストを怒らせてしまって解散したという悲しい出来事が最近あって、それ以来初めての再会なので、とても嬉しかった。若いころから超ハンサムだったけれど、お歳を召してからは益々穏かで素敵になられた。さて、ベルリン交響楽団の最初のプログラムはメンデルスゾーンの「イタリア」この明るく華やかな曲をワクワク期待していたけれど、学校の演奏会ということでなのか、まあ、見事にばらけた演奏。最近どこのオーケストラでも、もちろん日本のオーケストラでも、ホルンがひっくり返るのを聴くのは稀になっていたが、今日はことごとくひっくり返ると言う珍しい体験をさせてもらった。ほほう!久しぶりだなあ、こんなホルンは。そのうえ絃もうやむやになった個所があって、おいおい、どうする、そこはさすがに途中でなんとか合流。日本のオーケストラは最近水準がぐんと上がっているから、こんなに乱れはしない。ただどうしても本場のものにかなわないのがハーモニーで、どうやったらああいう響きがでるのか。日本のオケも音程は良いし、アインザッツが乱れることは稀だからいい音がするけれど、やはりかなわないのがこの響き。体に染みついた音とでもいうか、底から湧きあがってくるような音にはシャッポを脱ぐ。お目当てのブーニンは、一時熱狂的な人気を誇っていたのが、最近はあまり名前も聞かなくなっていた。「イタリア」に続く曲目はシューマン「ピアノ協奏曲」こちらはオープンリハーサル形式で演奏されたので、ところどころ止りながら・・・それはわかっていたけれど、3楽章は止り続け、いつ果てるとも知れない練習になってしまった。だいたい、1楽章の冒頭から余りの合わなさにビックリ仰天。ピアノがひとくだり終わってオケがジャーンと入ってくるのがワンテンポ遅れ、フルートは伸びに伸びて、オーボエは心細く、ホルンは相変わらずひっくり返る。ファゴットの二人はステージ上でなにやらひそひそ話している。隣のクラリネットに文句言いたげ。この曲の3楽章は合わせるのが難しいので有名だけど、ここまでダメだとブーニンさんがお気の毒になってくる。ブーニンはさすがに素晴らしい。輪郭のはっきりわかる非常に正確で緻密な演奏をしているのに、指揮者が難しいところを合わせようと大振りするので棒が遅れ、そこでひっちゃかめっちゃかになる。こういうところは演奏者に任せて小さく振ればいいのに。何回も何回もやるので、この練習は果たして終わるのだろうかと、心配になってきたけれど、その間にオケの音は見る見る(聴く聴く?)凄味を増してきて、その心地よさは何とも言えない。ああ、この音なのよ、私たちがかなわないのは。延々と続くリハーサルも少しも退屈しなかったのはそのせいだと思う。その代り、まるで自分が練習に参加していたかのように疲れた。今日もよく働いたわい、と言ってビールを飲もう。

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