2012年6月10日日曜日

梅雨はつらい。

立川市民会館。毎年この時期同級生のNさんを中心にコンサートが開かれる。音大でのNさんの教え子や、他の門下からも参加して今日も大変盛大な会になった。そこで私はNさんの教え子で、音大を卒業してから今は三島で後進の指導にあたっているМさんと、私たちの大先輩にあたるSさんのお二人と共演させていただいた。ブラームスの「ソナタ2番」ベートーヴェン「スプリングソナタ」の二曲。どちらも私は舌なめずりしたくなるほど好きな曲だから、弾かせてもらえてラッキーだった。ところが昨日の夜、何かの拍子に左手をついたとたんズキリと痛みが走った。体をかがめて猫の餌をやるときなどに、左手をテーブルについたりするとひどく傷む。試しに弾く格好をするとまあまあ大丈夫そうだけど、やはり痛い。思い切って練習をやめて寝てしまった。今朝そんなことは忘れていたので楽器を出していつもと同じように弾き始めると、かなり痛い。どうしたものか。テーピングか湿布をと思ったけれど、そんなことですぐ効くわけはないから、それに本番で弾かないわけにはいかないから、とにかく出かけた。会場にはNさんの出番に間に合うように到着。Nさんは先日ひどく具合が悪く、今回ショパンの難曲「チェロソナタ」のピアノパートを弾くかどうか危ぶまれるほどの体調だったけれど、さすがに本番に向かって快復して、今日は堂々の熱演。みんな大変心配していただけに、本当にうれしかった。私は楽屋で楽器を出して弾くと、ひどく左手が痛い。ビブラートがかからない。でも弾けば治るかもしれない。調子は今一つだったけれどなんとか弾きおおせてあまり輝かしくないブラームスは終わった。1時間後に「スプリングソナタ」このころになると左手の痛みはずいぶん楽になった。本当は痛いのにステージに立つと忘れると言う、まことに都合の良い体質なので、これもなんとか弾いた。こちらの相棒は先輩のSさん。演奏経験の豊富な彼女と弾くとなんと弾きやすいことか。構成がしっかりしている。どのように弾きたいのか明確に表現できる。彼女は来月津田ホールでワルシャワ・フィルのトップ奏者たちと室内楽のコンサートをする。そのプレコンサートとしてワルシャワの人の代役で弾かせて貰ったのが今回の「スプリングソナタ」本当に楽しかった。冒頭の部分、ヴァイオリンがテーマを歌い上げる。ピアノは下で分散和音を弾いているのだが、その絶妙なうまさ。手の痛みはそこですっかり吹き飛んで幸せな気分にかわる。終わってからも手は痛い。触ると熱を持っているようだ。梅雨時、いろいろなところが痛むようになる。この季節は楽器にも人にもつらい。

0 件のコメント:

コメントを投稿