2012年6月24日日曜日
西湘フィル第一回定期演奏会
今日は晴れの舞台。練習も十分、皆のやる気は熱気となってステージは暑かった。汗だくの文字通りの熱演となって、大成功!ただその成功を一番喜んでくれるはずの人は、もうここにはいない。複雑な思いでいた時に指揮者の松元氏のあいさつがあった。やはり同じ思いを抱いていたのだ。今からもう20年は前になろうかと言う頃、アマチュアオーケストラであっても、きちんとした指導者のもとで厳しい練習を重ねて、本当に良い音を作り出したいという小田部ひろのさんに声をかけられて、初めて秦野の地を訪れた。しかし、その時には新しいオーケストラを作るよりも現存するオーケストラがなんとなく練習をして、後は上手な人をエキストラに呼んでコンサートを開くと言う状態を改革したいという思いだったらしく、協力者が少数だったのであきらめた様だった。それからずっと同じ思いを抱いてきた彼女は、乳がんの手術をした後、残された時間の少ないことを知って、今度こそ行動を起こした。その頃彼女の病状を知る人は私を含めてほんの2,3人。指揮者の松元氏も知らなかったそうだ。ただ彼女は松元氏に「私にはもう時間がないのです」と言って協力を呼びかけたという。ご葬儀の時に彼は「あれはそういう意味だったのですね」と初めて理解したようだ。そして何回かのコンサートはいずれも成功をおさめたけれど、定期の曲目が決まったすぐ後に彼女は亡くなってしまった。私の携帯電話に最後のメールが残っている。(一緒に演奏したいなー)と。今日の初めての定期演奏会としてのコンサートを聴かせたかった。本当に聴いてもらいたかった。最後の曲は涙がこぼれた。打ち上げであいさつをと言われても通り一遍の事は言えない。彼女のことを言ってしまえば号泣してしまう。なにも考えていなかったとごまかして挨拶はうちきってしまった。人の死はいつでも悲しいけれど、彼女の死は特に無念。美しく若くして逝った人に捧げるコンサートになってしまった。一緒に演奏したかった。今日はメンバーの真摯な演奏と、私の仲間、教え子たちが来て一緒に弾いてくれたのが本当に救いになった。西湘フィルはこれから伸びて行くオーケストラで、内部組織もとても上手く機能しているようだ。滞りなくことが進んでいる。今後も初心を忘れずに伸びて行ってほしい。小田部さんの想いを継いで理想の音を追って行ってほしい。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
先生、ご指導ありがとうございました。また演奏や賛助ご紹介の面でも力をお貸し下さいましたこと、とても心強かったです。私ができることは今のオケではほとんどないのですが、小田部先生の想いを継いで、何より自分自身がオケ・音楽を楽しみながら学んでいきたいと思います。今後ともご指導よろしくお願い申し上げます。
返信削除私が出来ることはほとんどない・・・何をおっしゃる佐野さんあってこそですよ。とてもよい演奏会でしたね。
返信削除はい、先生はじめ皆様の想いが集まった、とても良い演奏会でした。その一員に加われたことが、私にとっては何よりの財産です。初心を忘れず・・・とても大切なこのことをこれからの座右の銘にしたいと思います。
返信削除