2012年7月9日月曜日

不規則の規則

アマチュアオーケストラで弾いている人が、新しい曲を始める前にその度レッスンを受けにくる。だから、年に2,3回しか来ないのだけど、今度はホルストの「惑星」ですと言う。困ったなあ。あの曲は私も数回弾いたくらいで、ほとんど覚えがない。でも、そこは古狸だからわかったふりしてレッスンを始めた。この手の曲はほとんど必然性のない音列や、効果音のようなものだから、弦楽器にとっては面白みがない。でも、アマチュアオーケストラは管楽器の出番が多くないと不満が出る。吹きたくて入ってくるのに出番がなくては気の毒だから、管楽器の事を考慮して曲目が決まる。古典ものでは、管楽器は少人数しか出られないから、どうしても管楽器が目いっぱい満足できるような大編成ものになる。「惑星」は弦楽器のためにほんの少々美しい旋律が用意されていて、その程度で弦楽器を満足させようなんてそうはいかないけれど、わからずやの男が時々優しくして女をたぶらかすように、これでころっといっちまうのだわ。そしてレッスンを始めて見ると、オーケストラにいたころには、ただ必死におさらいしていたけれど、冷静にみると色々なことがわかってくる。音列にしても妙な進行だと思っていた物が、実はある一定の配置になっているとか・・・。そうなんだ。こんなこととはつゆ知らず、必死に覚えようとしていたんだ。あの時これがわかっていたらもっと楽に弾けたのに、等々。よく数列の規則性を見つけるパズルなんかがあるけど、あれと一緒でそうとわかればフィンガリングもきまってくる。あら、簡単だったのね。やっぱり年はとってみるものだわ。若死にのすすめなんてこの前書いたけど、あれは取り消し。そして、レッスンが終わって次の約束をするときに「日曜日であいている日はありますか?」「この日は大丈夫よ」「えっと、それ1月のカレンダーですが、いいんですか」きゃあ、いったい7月はどこへ行ってしまったのかしら。しばらく捜して、そうだ裏表になっていたっけ。裏返すと7月がでてきた。まったく人騒がせな7月め。こうやって日々老いてゆくのです。

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