ダルバのコンサート会場で隣に座った男性。休憩の後からよほどお腹が空いたらしく、ぐうぐうと鳴りだした。もう、とまらない。気の毒に、会社が終わって駆けつけたので夕飯はまだなのね。しきりと、もじもじしている。ヴァイオリンとお腹の虫の大合奏となった。おかしいやら気の毒やら。一曲終わってやっと鳴りは治まった。日本のコンサートは夜7時が一般的。だから仕事が終わって何やかやとしていると、夕飯を食べる暇なく駆けつけることになる。スペインではゆっくり夕飯を食べてからコンサート、終わってから巨大なスペイン風オムレツを食べて夜中まで楽しむそうだ。次の日きついだろうって?ちゃんと昼寝をするから大丈夫。そんなわけで経済的にはユーロ圏のお荷物だけど、幸せそうだなあ。今を去る数十年前のこと、メキシコへ演奏旅行で行った時、コンサートの始まりが夜10時ころだったと思う。しかも、ご臨席を賜るはずの皇太子が遅刻。やっと12時ころ現れて滔々と演説を始めたのには驚いた。その間暴動も起きず聴衆もすっかりリラックスムード。我々は次の日の朝早く出発しなければいけないから気が気ではない。帰りのバスはみんなぐったり。ところが峠を越える時に山頂近くでバスが止まった。運転手がみんな降りろと言う。まさかそこへ山賊が出てきて身ぐるみ剥がれるわけはないとは思ったが、せっかく寝ていたのを起こされてしぶしぶ指示に従った。だが外に出て息をのんだ。空には満天の星。今まで見たこともないような星々の輝き。太古の景色はこんなだったのかと思う。運転手からの素敵なプレゼント。お腹の虫から始まった思い出でした。
0 件のコメント:
コメントを投稿