2014年3月16日日曜日

アンサンブル・アディ

横浜市開港記念会館、国の重要文化財に指定されているこの古い建物は、日本大通り駅のすぐ傍にある。
私たちの音楽仲間のコントラバス奏者の大西雄二さんは、ここで奥様のチェンバロ奏者のますみさんと度々コンサートをひらいている。
どっしりとした建築と古楽器はとても良く似合う。
今日はオーボエ奏者の佐藤亮一さんを交えて「音故知新」と題したテーマでのプログラム。
バッハからバルトークまでの音楽の変遷をたどる、面白い試みだった。
ヨハン・セバスチャン・バッハを3曲。
アダージオBWV156
パルティータ第1番BWV825
ガンバソナタ第1番BWV1027
ヨハン・セバスチャンの息子のエマニュエル・バッハを1曲。
オーボエソナタト短調
ヨハン・セバスチャンとエマニュエルでは作風がとても違い、同時代と思えないほどエマニュエルは斬新な音楽で、私はエマニュエルが大好き。
エマニュエルは、当時とても人気があったというのも、頷ける。
ただし、演奏は難しい。
今日はオーボエソナタを聴かせてもらったけれど、いかにも手の込んだ華やかさがあって、とても魅力的だった。
休憩後は現代に移る。
まずベラ・バルトーク「3つの民謡」
バルトークは手の込んだ変拍子や和声で演奏が難しいこともあるけれど、ハンガリーの田園風景を思わせる素朴な曲で、オーボエの郷愁を帯びた音にとてもマッチして、美しかった。
次はポール・リード「ある風景の物語」
イギリスの作曲家らしい。この曲を聴くのは初めて。
オーボエの高い音で表す、夜明けの厳しいまでの静けさから始まり、鳥の声や日差しの中でおしゃべりする小鳥たちの様子などを、短い曲の連続で表現して居る。
ジェルジ・ラーンキ「ドン・キホーテとドルシネア姫」
ハンガリーの作曲家らしい。
初めて聞いたけれど、民族的な旋律と変拍子で面白かった。
開港記念会館のどっしりとした建物には、古風な音楽が良く似合う。
それでもバルトークのような新しい曲も決して不釣り合いではないのは、楽器の編成がチェンバロ、コントラバス、オーボエという木のぬくもりのある楽器達だから。
オーボエは東洋的で、表情が豊かに出る楽器なので、民族的な音楽は特に似合う。
そこにコントラバスとチェンバロの落ち着いた音が絡まって、この度のプログラムは楽器編成の勝利と言うべきか。
心が安らかになって、素敵な時間を過ごさせてもらった。
あたふたとした日常をすっかり忘れて、瞑想の世界に入り込んだような。
派手で興奮するコンサートもたまには悪くないが、私たちの年代はこうした静かで深い、心の襞に入り込むような音の方がありがたい。
会場で出会った旧友たちと、おしゃべりが出来るのもうれしい。























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