2014年7月21日月曜日

風邪をひく元気もない

私はヴァイオリンを始めたのも他の人より遅かったし、親の理解がなくて放置されていたから、当初は子供のことなので練習もしたりしなかったり。
弾きたい時に弾く、弾きたくなければ何日も弾かない。
初めての先生は近所のお兄さん。
お兄さん優しかったから、私は自分が好きな曲だけしか弾かない。エチュードは嫌いで、口をへの字に結んで、頑として拒否。
劣悪な条件が揃っていた。
多動性の性格だから集中力が長続きしない。
音大附属高校に入るのもやっとだったらしく、先生から「あなたはヴァイオリンで入れたのではないのよ」と釘を刺された。
しかし、天性の能天気だから、落ち込みはしない。
落ち込む前にそれを面白がる自分がいるというのだから、落語家になればよかったかもしれない。
落語家でも枝雀さんのように悩んで自殺する人もいるから、根明かが人を笑わせられるとも限らない。
枝雀を道で見かけたと言う人がいた。
「なんか、うつむいてぶつぶつ言いながら枝雀が向こうから歩いて来たんだよ。すれ違うときに聞こえたけど、落語の練習してた」ですと。
すっかり自分の世界に入っていて、異様な雰囲気だったそうだ。
どの世界でも一流になるのは、激しい練習が必要になる。

私は元々ヴァイオリニストになる気もなく、面白がってやっていただけなので、大学では優等生達の後ろで苦労した。
子供時代の積み重ねがないので、理論で攻めるより方法がないから、よく本を読んだり考えたりした。
それが今生徒を教えるのに、すごく役に立っている。
学生時代はアンサンブルにうつつを抜かし、毎日アンサンブル漬け。
それも役に立って、オーケストラや室内楽で仕事が出来るようになった。
自然な流れで仕事へと結びついたようだ。
人間万事塞翁が馬ですね。

私でも時々狂ったように、練習をすることがある。
そんなときはたいてい、後で風邪をひく。
なぜか知らないが、風邪の前兆は急に練習をハードにする、めちゃくちゃ食欲が出て、やたら食べる。
次の日はダウン、喉が痛い・・・こういう流れなのだ。
初めのうちは偶然だと思っていたけれど、何回も同じことがあると、それは前兆と考えるようになった。
病気の前はやたらに元気で「最近私調子がいいの」なんて言っていると入院したりする。
あれはどうなんでしょうね。
最後の力を振り絞ってかな。
よく人が死ぬ前に急に元気が良くなることがあるけれど、その一種かもしれない。

私の母がなくなる1週間ほど前、病室に人がいると言い出した。
「そこに人がいる」誰もいない部屋の隅を指さす。
母の名誉のために言うけれど、母の頭は最後まで決してボケはしなかった。
「外を通る人が見えたんじゃないの?」と言うと「そうじゃないわよ、ほら、その角にいるじゃない」
その時母は、元気になって1週間後に退院するというので、自宅に介護用のベッドや酸素吸入器などをセットして、家族が待っていた。
しかし、その直後に容態が急変して帰らぬ人となった。
その時母が見たのは、あの世からのお迎えの人だったかもしれない。

話が逸れたけれど、だから私が急に熱心に練習などすると、ろくなことがないというオチ。

ここ1週間、ひどく練習をさぼってしまった。
全く意欲がわかない。
時々楽器を出してほんの少し弾いてお終い。
調弦だけで終る日もあった。
この後、松原湖に始まって、秋のシーズンには続々コンサートがあるのに。
ヴィオラのご用もあるから、楽器を鳴らしておかないといけない。
それでもなんだか心が折れていて、元気がない。
今日楽器ケースを開けたら、いつものように私の楽器がニッコリと笑った。
弦を張り替える、丁寧に糸巻きにペグチョークを塗って滑り止め。
駒の姿勢を直す。
いつもはがさつな私が、急に慎重に優しくなるのはこの時ばかり。
久しぶりに弾くと、やはり面白くてやめられなくなる。
明日からはゆっくりと回復していかないと、間に合わなくなる。
怪我をして運動量が足りていないので、元気が出ない。
やっと胸の痛みも微かになった。
元気がないから風邪を引きそうにもない。





















4 件のコメント:

  1. なんか最初の方を読んで心配したら、ああよかった、復調ですね。 胸の痛みとか、きっと一時的なものなのだと思いますよ。 適当にストレス解消しながら、練習もほどほどに、でもきっと演奏会までに間に合うようになっているのだと思いますよ。 きっと神様がそうさせてくれますよ。 

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  2. お励ましありがとうございます!
    ところで「はげます」というと「禿」「増す」と頭の中で変換してしまう私は、性格悪いですよね。
    男性諸君が一番気にする言葉ですもの。

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  3. 確かに。何年か前北海道をレンタカーでまわっていて、「ここ行かないと」と私が指差したところが「増毛(ましけ)」だったこと、相方は今でもたまにそのことでチクチクいいます。(^ ^)

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  4. あはは、静岡にも毛無山ってあるみたいで。
    大きな声では言えない名前です。
    周りを確かめてからでないと。

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