我が家の目の前は川が流れていて、2階から見ると眼下に桜並木が続いている。
今朝2階のカーテンを開けて窓から下を見たら、人がぐったりと川のフェンスにもたれて足を前に投げ出していた。
まさか、熱中症?
私の中でパニックが起きた。
川沿いの道は車も通るから、こんな所に倒れていたら危ない。
警察か救急車を呼ばなければいけないかしら。
私は力がないから、大きな男の人を持ち上げて引きずることもできない。
そんな風に思って見ていたら、その人は視線を感じたらしく、こちらを見あげて目があった。
ああ、よかった。とりあえず、生きている。
視線に力があって、弱っている風でもない。
それでも冷蔵庫から冷たいペットボトルの水を取り出して、急いで階下に降りていった。
「大丈夫ですか」と声を掛けたら「大丈夫ですよ」と笑っている。「お水は?」と訊くと持っていますと答えた。
近所の新築工事に来た工務店の人らしい。
それにしても、この暑さの中で炎天下、アスファルトの道路に座り込んでいるのは、どうしたわけ?
まだそれほど気温は上がっていないにせよ、優に28度は超えている。
しかもお日様がギラギラ輝いているというのに、帽子もかぶらず熱いアスファルトにぺたんとお尻を付けて、足を投げ出して座っている。
こういう人達はいつも体を動かしているから、きっと相当な暑さの中でも体が馴れているのだろう。
それでも心配だから、お隣に回覧板を持って行きがてら、再度「暑いから家の駐車場の日陰に入って下さい」とおせっかい。
又笑って「いやいや、大丈夫です」と辞退された。
工事の人達は暑い炎天下でも、凍える寒さでもものともせず、良く働く。
前に道路工事の人が暑い日にせっせと働いているので、大きなサイダーのボトルを差し入れしたことがあった。
よほど喉が渇いていて嬉しかったらしく、その工事の2,3日の間、私のうちの用事までやってくれた。
汚いカーペットを下の道路でごしごしデッキブラシで洗ったことがあって、水を含んだカーペットは猛烈に重くなった。
私の力では到底持ち上がらないから、道路にそのまま放置して乾くまで待つつもりでいた。
そうしたら、その人が来て「おれが干してやるから、ほら、そっち持ちな」と言ってきた。
持ちなったって持てるワケがないのに、その人はぐいと片端を持ち上げて川のフェンスまで引きずっていって、それをフェンスに掛けてくれた。
私はもう一方の端にしがみついて、結局何の役にも立たなかった。
乾くのに数日かかり、その人は工事が終って、もういないから、取り込むのが大変だった。
乾くまで工事をしていてくれればよかったのにねえ。
亀などの両生類は、活動する前にお日様に当たって体温を上げるらしい。
今朝の日向男は亀かトカゲの化身かなんて、真夏の白昼夢でした。
もしかしたら究極の熱中症対策だったかも。
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